2016年03月31日

花の忠臣蔵

野口武彦   講談社   2015.12

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 忠臣蔵を中心にして元禄の世を丁寧に解説している。
 あとがきに
 五代将軍綱吉は、カネを使いまくることは知っていたが、−略−利殖することを知らなかった。
 浅野内匠頭は自藩の塩専売が商業資本の蓄積につながることを知らなかった。
 吉良上野介は、賄賂が社会慣行を円滑に動かしていくシステムであることは判っていたが、なぜそうなるかを理解していなかった。
 大石内蔵助以下の赤穂浪士は封建社会においてベストとされるモラルに殉じた。

−略−
 誰も自分たちを見えない手で操っているのが、貨幣経済のからくりであることを知らない。
 貨幣経済に操られる、カネがカネを生む現代社会の始まりが、この元禄の時代だったのだ。

 たとえば、浅野内匠頭が吉良上野介に意地悪をされたとか、その原因が理不尽な賄賂を払わなかったからと言われるが、それは理不尽な賄賂ではなく正当な謝礼である。
 その正当な謝礼を払う際に、インフレを考慮せずに昔の価格ですまそうとしたことが問題だったといわれる。
 正当な謝礼なるものが、賄賂のような形で払われた。江戸幕府が出費すべきことなのに、大名に押しつけた(払わせた)。この政治制度の欠陥が事件の引き金といえよう。

 前半の時代を見つめる目も、後半の討ち入りの説明も、資料に基づいて、判っていることと創作された部分とを分けて、判りやすく解説している。
 問題はそれらの資料の信憑性だが、その検証は専門家に任すしかない。
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2016年03月26日

日光 神橋の若葉

日光 神橋の若葉

翁の句に
    あらたふと青葉若葉の日の光
がある。
芭蕉は衣替えの頃(元禄二年四月一日、1689.5.19)、日光東照宮に参拝した。

下の写真は2005年5月3日。

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修復された神橋が若葉に映える。若葉のもっとも美しい頃だ。

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新緑は花や紅葉のように美しい。
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2016年03月20日

天鬼越

天鬼越(あまぎごえ)  蓮丈那智フィールドファイルX
北森 鴻  浅野里沙子   新潮社   2014.12
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 短編集である。2010年に亡くなった北森鴻の、いまだ単行本化されていなかった鬼無里・奇偶論の2編に加え、プロットのみ残されていた表題作天鬼越を浅野里沙子が小説化し、さらに浅野里沙子が模倣した3編を加えた。もちろん蓮丈那智シリーズである。
 主人公の那智と記述役の三國が、ホームズとワトソンのようにバランスがとれていておもしろい。
 ナマハゲなどの古い祭祀や秘祭の考察と、それに絡んだ事件への考察の鋭さ。何気ない行動にも意味があって、それを元に推理する。
 銭形平次はなにゆえ神田明神下に居住しなければならなかったか。
 という学生への課題を残して鬼無里を研究に行くが、これも事件の解決のヒントになる。
 ふっと、三田村鳶魚(みたむら えんぎょ)の大衆文藝評判記を思い出す。
神田明神下には棟割り長屋はない。

 民俗学とは
 真贋など、どうでもいい。なぜ偽書が作られるのか、重要なのはそれだけだ。
 という基本姿勢は変わっていない。

 蛇足ながら、蓮丈那智は東敬大学に研究室を持つ。そして怜悧な頭脳と美貌といくら飲んでも酔わない体の持ち主。民俗学の世界では異端者として扱われている。
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2016年03月15日

AlphaGo

AlphaGo
 日本囲碁界では現在、井山裕太が七冠獲得なるか、注目されている。同時に、李世ドル対AlphaGoにも注目が集まっている。
 AlphaGoとはgoogleの開発した囲碁ソフトである。
 AlphaGoが注目されているのは、今までの囲碁ソフトの進歩が毎年一段ぐらいで、アマ六段ぐらいになったといわれ、これからが難しく、プロのレベルにあと10年と思われていたのに、なんとAlphaGoは一気にプロ高段のレベルに達したからだ。

第一局 黒李世ドル 白AlphaGo  勝AlphaGo
第二局 黒AlphaGo 白李世ドル  勝AlphaGo
第三局 黒李世ドル 白AlphaGo  勝AlphaGo
第四局 黒AlphaGo 白李世ドル  勝李世ドル
第五局 黒李世ドル 白AlphaGo  勝AlphaGo
 結果はAlphaGoの四勝一敗だった。

 わたしが注目したのは、はじめの四手。
 ほとんどがスミの星で、わずかに小目。下の図参照。
 第一線はともかく、三三・天元・高目・5七・7七、なども検討しなかったはずがない。にもかかわらず、一度も打っていない。検討した結論は星が最強となったのか。
 わたし個人は小目がほとんど、たまに星にも打つ。高目・5七・7七などが、小目や星より優れているとはとても思えない。もしかしたらAlphaGoはそれを決定づけたか。

 AlphaGoの性能はどの程度か。
 公式発表数はCPUを1202個、GPUを176枚、使用している。
 ある試算によれば、サーバー利用料は2年で六〇億円。あまりに概算過ぎて、真実性が薄いが、ともかく零細ベンチャー企業では手が出ないほどの高額である。これから考えても、今までのソフトとは別物である。
 Googleでは人工知能の研究の一環として、AlphaGoを作成した。私たちが使えるようになるのは、まだまだ先の話である。
   画像はサムネイル
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第一局           第二局           第三局
   
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第四局           第五局

参考 AlphaGo https://ja.wikipedia.org/wiki/AlphaGo
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2016年03月13日

邪馬台

邪馬台  蓮丈那智フィールドファイルW
北森 鴻   新潮社   2011.10
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 この本は著者の死去によって未完であったが、浅野里沙子が北森鴻の資料を基に追加執筆し完成させた。どこまで追加かは判らないが、著者は北森鴻とさせていただく。

 このシリーズ初の長編なので、いつもと趣が違う。
 明治初期に地図から消えた村があった。阿久仁村である。その村に密かに伝わったといわれる「阿久仁村遺聞」という古文書らしきものが蓮丈那智の手に入る。
 これが蓮丈那智が研究していた邪馬台と関連があるらしい。
 鉄の生産には大量の燃料が必要となる。酒の生産には食べるに余るほどの大量の米が必要になる。この鉄と酒がキーワードになって、蓮丈那智は阿久仁村遺聞の謎を解き、同時に邪馬台国の謎を推察する。
 おなじみ別シリーズの雅蘭堂越名や冬狐堂宇佐見陶子も登場する。三國もしっかり活躍する。
 話は複雑に入り組んでいて、読んでいて戸惑う。
 読み終えて、この結論でこんな大きな事件になり得るのか、つまり謎の風呂敷を広げ過ぎていないか、これで最初から最後まで筋が通っているのか心配になるほど。もっとも有り得ないほどではない。特に文書の順番の謎は、無理矢理謎にしている感じがする。
 個人的には、浅野里沙子が書いたと思われる終盤が読みやすかった。この小説を世に出すため、すなおに集結させたのではないか。
 魏志倭人伝はなぜ書かれたのか、古事記と日本書紀は同時代に書かれたのになぜ内容が異なるのか、などから、邪馬台国に対する新しい見解を展開する。
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2016年03月08日

奥日光周辺の山

奥日光5 奥日光周辺の山
2007年5月16日

 細尾峠から古峰原にいたる登山コースがある。
 細尾峠には山道を茶ノ木平から行くコースと明智平から行くコースがあるが、自動車道にバスの便はなかった。
 中禅寺湖からは茶ノ木平がよさそうだ。なお古い地図には茶ノ木平にはケーブルがあるが、今はないので1時間半ほど歩いて登ることになる。

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 5月16日の朝、登りはじめる前に中禅寺湖に出て白根山(2577)を撮影。朝早いとこんなにスッキリ写る。
 前日の午後は雷雨の後に快晴でも男体山がぼやけていた。
 
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 中央に出ているのが白根山、手前の白い横線は外輪山。一度白根山にも登ったことがある。五色沼ちかくの避難小屋に一泊した。

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 中禅寺湖畔(1269)からは比較的急な道が続く。このような歩きやすい道なのでゆっくり登ればよい。健脚ならば1時間もかからないだろう。

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 茶ノ木平(1625)。数年前になくなったケーブルの上の駅の跡地。
 高低差350メートルを1時間半歩く。
 男体山(2225)は、かなり下まで雪がある。一昨日はほとんど雪がなかったのだ。

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 中禅寺湖が一望できる。
 日光白根の山々は全体的に白い。

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 中央の高みは女峰山(2483)。登ったことはない。普通の山小屋がないので、もう登る機会はないだろう。手前は男体山の裾である。

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 見通しはよいので迷うことはない。
 細尾峠に向かう。

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 ここから急に下がる。
 急な下り道を下りようとしたとき、自転車を担いで登ってきたふたりの男に会う。訊かれた。
「あちこちにあるピンクの花はなんですか」
「ヤシオです。ヤシオツツジ。赤いのはアカヤシオ。シロヤシオもあるんですが、まだ咲いていないでしょう」
 あとで考えるとこの説明はおかしい。間違いとはいえないにしても。
 細尾峠11時。薬師岳12時。夕日岳への分岐三ツ目で2時半。ハガタテ平で3時半。ここから古峰まで地図上では1時間10分だが、前回2時間ほどかかった記憶がある。わたしは相当無理して速く歩いたが、それでも古峰の停留所についたのは5時20分ころ。最終バスは5時15分のはず。バスは出発しようとして、動いているのが見える。だが遠くにわたしの姿が見えたらしく待っていてくれた。
 途中で会ったふたり組の女性が、運転手にわたしのことを話して少し待ってもらったのだった。それでも待ちきれず出発しようとして、わたしが見えたという。感謝感謝である。
 絶対に間に合わないと判っているのに、休まず歩いたのがよかった(^。^))。
 定期バスなのだ、あまり待てはしない。古峰ではお客は三人だけだった。新鹿沼には予定通り6時過ぎに着いた。
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posted by たくせん(謫仙) at 07:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 登山・ハイキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月03日

中禅寺湖畔

奥日光4 中禅寺湖畔
転載にあたり大幅に加筆し写真も入れ替えた。
2007年5月15日

 まだ早春の小田代ヶ原を歩いた翌日は中禅寺湖畔(1269)を歩いた。
 天気予報では所により昼ごろ雷雨有り。中禅寺湖一週はやめて社山登山に変更。万一の時は戻れるからだ。
 湖の東岸を歩く。中禅寺をえて、阿世潟(あせがた)まで二時間。
 ちょうど桜が咲いていた。

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 葉も美しい。山桜だろうか。
 車道が終わると、あちこちにアカヤシオが見られる。

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 アカヤシオ(赤八汐)は穏やかな色合いの優しい花だ。
 同じような花にシロヤシオ(五葉躑躅とも)がある。土地の人の話では咲くのは6月になるという。シロヤシオは愛子様のお印として有名。

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 鹿の食害、こうして木は枯れていく。
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 元気な木は、みどり葉がはえる。

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 中禅寺湖の向こう側は男体山。
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 中禅寺湖のたった一つの島。

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 シジュウカラは何度も顔を見せた。3日目はシジュウカラでがっかりしたり。シジュウカラ君ゴメンm(__)m。
 新緑の最も美しい時である。この新緑を見ただけでも来たかいがあったな。

 阿世潟から登山になる。40分ほどかかったか。阿世潟峠(1410)の直前で雷が鳴った。まだ10時前だ。予報より2時間ほど早い。社山(1826)まではここから2時間近くかかりそう。とりあえず峠に出て様子をうかがう。しばらくすると続いて鳴り出した。音は遠いが近づいてくる様子。間違いなく雨になる。
 峠から引き返した。阿世潟あたりで雨になった。

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 雨の小径も乙なものと、強がりを言っているうちに大雨になってきた。雪が交じる。それが霰に変わる。小さいので当たっても痛みはない。このころ半月山の上では吹雪のような状態だったという。
 雨の中を歩いているとキビタキが動き回っている。

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 キビタキ
 飛んで行かなかったので、小雨の中を動き回っていても何度か撮せた。
 間もなく旧イタリア大使館別荘に着く。ここは一応無料だが、100円ほど寄付してくださいと書いてある。雨宿りも兼ね、お茶もいただいたので、200円入れてきた。
 雷雨は三時間ほど続いた。

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posted by たくせん(謫仙) at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 登山・ハイキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする