2016年10月30日

すばらしい黄金の暗闇世界

すばらしい黄金の暗闇世界
椎名誠  日経ナショナルジオグラフィック社   2016.6
     2016.10.30-1.jpg
 椎名誠の本は、小説よりエッセイの方がおもしろい。
 この本は、そのエッセイの特におもしろいところばかりを集めたような、わくわくする本だ。
 世界中を旅し、それぞれの深部に入り、一介の旅行者では見ることのできない部分まで、見て経験している。日経ナショナルジオグラフィック社の素晴らしい写真集もある。
 無人島での漆黒の闇、空飛ぶ蛇、食肉ナマズ、ニューヨークの地下トンネルに住み着いた数千人のホームレス、パリの地下墓地、奥アマゾンの筏家屋などという、エッと言うような話が多い。
 立ちションをすると、その流れを遡って尿道口に突っ込んでくる食肉ナマズの話など、まさかと思ってしまう。(アマゾンの話)
 光あふれる日本社会への批判もある。東日本大震災以後、エネルギーの浪費を考えさせられたのに、懲りずに元に戻ってしまった。

 わたし(謫仙)は何回か中国旅行をしているが、一回の旅行で、一年分のエネルギー以上のエネルギー(ジェット機の燃料など)を消費する。自動車を持っている人はさらに多く使うであろう。
 著者がこうして世界中を巡っているとき、どれほどのエネルギーを消費しているか。そんなことにも言及して欲しいものだ。それに比べたら、一般庶民のエネルギー消費などたかがしれている。無駄は省かなければならないのは当然だが、一言欲しい。

 それはともかく、著者の冒険心には、判っていても感服してしまう。こんなすてきな本を書く才能にも驚く。専門書ではない。専門家でないわたしにとって、それが真実であることが判る程度でよいのだ。この本のような、読んで面白いわかりやすいというのが大事だ。
posted by たくせん(謫仙) at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月23日

天頂の囲碁6

天頂の囲碁6 Zen
      2016.10.22-1.jpg
 碁や将棋のソフト(アプリ)の進歩はめざましい。
 チェスではかなり前から最高レベルの棋士に勝っている。将棋でも数年前から最高レベルのプロ棋士に勝てるようになった。
碁界でも、あと十年もすればといわれていたのが、AlphaGoの登場によって、一気にトップ棋士に勝てるようになった。
    参考  AlphaGo
 ただし、AlphaGo は特別で、一般的にいえば現在の最高レベルは「天頂の囲碁6」などでアマ七段程度という。
 このアマ七段というのが、実は曖昧であって、場所によって、会によってかなりのばらつきがある。中には買った(勝ったではない)段もある。
 そうは言うものの、それでも私たちにはある程度の目安がある。たとえばネット棋戦などの段だ。

 わたしも遅ればせながら「天頂の囲碁6」を買い求めた。一万円弱である。
 確かに強い。打ってみると不自然な手が見当たらない。まるで人が打っているみたいだ。(「天頂の囲碁2」の時は、強くとも不自然な手も多く、打っていて飽きてしまった)

 天頂の囲碁6は定石もしっかりしていて、周りの状況によって定石を外すこともある。
 自分の棋譜を並べ、ここでどう打つか「検討」させると、わたしの打った手を検討の対象とさえしないことがある。そっぽを向いた手と指摘されたわけだ。そのときわたしの弱点や間違いを指摘されたと思う。
 特に判断に困った場面を検討させると、わたしの思いもよらない点をしめす。発想が違うのだ。わたしは小利をえて負けを確定することが多い。
 そして、天頂の囲碁6の打った手が理解できるレベルなのもいい。これがプロレベルになると、「なぜこの手を打たないのか」「なぜその手を打つのか」とわたしには理解できないことが多いのだ。
 そんなわけで、かなり重宝するソフトである。
posted by たくせん(謫仙) at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 囲碁雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月15日

血糖値スパイク

血糖値スパイク

 10月8日にNHKで、血糖値スパイクという問題を取り上げていた。糖質食を摂ると、その後一時的に血糖値が上がる。
 人によっては上がりかたが高すぎる。これを血糖値スパイクという。様々な病の原因になる。その可能性のある人は日本で1400万人ともいう。

 食事を食べたすぐ後の短時間にだけ、人知れず血糖値が急上昇し、やがてまた正常値に戻る。それが、「血糖値スパイク」。食後時間がたった状態で行われる通常の健康診断では、見つからないことも多い。ところが最新調査で、なんと1400万人以上の日本人に「血糖値スパイク」が生じている可能性が明らかになってきた!


 わたしは「血糖値スパイク」のことについて知識はあった。だがその問題性についての認識が薄かった。
 主食をやめると健康になる で血糖値急上昇の説明があったのだ。その本は糖質制限食ダイエットを中心としていた。
 だが、まるで糖質食が問題のような書き方と、前後矛盾する書き方に疑問が生じていた。そのため、血糖値スパイク(その本では血糖値スパイクとはいっていなかったと思う)のことは判っても、問題を甘く見ていた。
 そのとき、いくつかの疑問点を書いた。
 7月6日の「ガッテン」でも糖質制限食をとりあげていて、一応納得した。
  参考 糖質制限食

 しかし、今回の放送で、糖質食が問題の人は一部の人だけで、大部分の人は該当しない、といっていたので、ようやく納得できたのだ。
 たとえば「3.米を主食とする日本食はヘルシーといわれているが、この定説を覆せるか。」など。多くの人にとって定説は正しい。問題は一部分の人なのだ。
「主食をやめると健康になる」のは一部分の人だ。問題はこの一部の人がなんと、1400万人もいるらしいことだ。
 わたしも他人事ではない。おそらく今までの情報でも、気をつけてみれば、一部の人と言っていたかもしれない。わたしの勝手な思い込みがあったかもしれない。
 納得できれば対策も考えられる。すっきりした。

    参考 “血糖値スパイク”危険度チェック!
posted by たくせん(謫仙) at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 山房筆記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月09日

日本海 その深層で起こっていること

日本海 その深層で起こっていること
蒲生俊敬   講談社   2016.2
     2016.10.08-1.jpg
 日本海の成り立ちや、小さいながら独立して生きている理由などの解説である。
 深海の生物などを考えていたが、それはなかった。
 日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。
 対馬海峡・津軽海峡・宗谷海峡・間宮海峡という浅くて狭い海峡で外海とつながっている。そのため海水の出入りが少なく、干満の差がわずかである。水深は最大3800mとかなり深い。
 このような地形では、深層は死の海となる。その例が黒海だ。
 ところが日本海は、比較的塩分濃度の濃い対馬暖流が北上して、酸素をたっぷり含んだ海水が北で冷やされ、重くなって沈み込む。そのため循環が生じ下層では掻き回され、100〜200年で循環は1周する(熱塩循環)。そのため深層でも酸素を含んだ生きた海水である。大洋では、その10倍2000年もかけて循環が1周するといわれている。黒海はこの循環が生じていないため、低層は死の海になる。
 こんなことから、日本海は豊かな海になり、季節風もあって対馬海流の蒸気が雪(雨ではなく)になり、国土も豊かになった。
 日本海はずっとそうだったわけではない。8000年前は死の海だったという。
 日本列島と大陸との微妙な距離、日本海の微妙な形が成立して豊かさをもたらすようになった。そのため、気候変動の影響を受けやすい海でもある。
 そんなことをいろいろな資料を用いて説明し、日本の歴史も考察する。
 そして今、温暖化によって、北海での冷え込みが弱まり、沈み込みが少なくなっている。循環が弱まり、深層では酸素が少なくなっている。同時に雪不足になり、日本の豊かさを損ねることになる。
 これが世界の海に対する警告となっているのだ。
posted by たくせん(謫仙) at 11:54| Comment(4) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月02日

村上海賊の娘

村上海賊の娘
和田 竜   新潮社   2013.10
     2016.9.22-1.jpg
 武侠小説ばりの痛快小説であった。
 村上海賊と言えば、後に村上水軍と伝わる瀬戸内海の有力海賊である。その娘の景(きょう)の活躍ぶりである。引用すると、
 和睦が崩れ、信長に攻められる大坂本願寺。毛利は海路からの支援を乞われるが、成否は「海賊王」と呼ばれた村上武吉の帰趨にかかっていた。折しも、武吉の娘の景は上乗りで難波へむかう。家の存続を占って寝返りも辞さない緊張の続くなか、度肝を抜く戦いの幕が切って落とされる。第一次木津川合戦の史実に基づく一大巨篇。

 戦国の織田信長の軍勢と、大阪にあった本願寺との戦いがあった。本願寺では兵粮が決定的に不足していた。そのため毛利に兵粮を依頼する。
 毛利は村上海賊の力を借りて、船で難波海から木津川を通って運ぼうとする。それを防ごうとする、織田方泉州侍、その一部は泉州海賊である。
 この荒くれ男の大活躍が話の中心である。
 本屋大賞を受賞した。

 さて、景(きょう)は醜女として名が高く、誰も嫁に迎えようとはしない。それが泉州では美しいと絶賛される。いったいどんな女なんだろう。これが第一の謎。
 ハーフかもしれない。西洋人(マリア像など)に慣れた人と、知らない人との差とか。となると出生の問題が生じるが、そのようには見えない。
 泉州海賊の長である眞鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)の超人的能力がすごい。ヘビー級レスラーを遙かにしのぐ身体能力。これは第二の謎。
 銛を投げると、当たった小舟は爆発して木っ端微塵。大きな穴が開いたなら判るが、爆発する理由が判からない。書いてないが、爆弾も仕掛けてあったのか。
 敵味方ともかなり損耗したはずなのに、実際の被害は五分の一程度。中心的部隊が壊滅すると残った兵は戦闘能力を失うので、五分の一でもほぼ全滅か。
 壮大な海戦の一部を大げさにした部分も、内力(超能力のようなもの)に逃げるようなことはない。泉州侍の言うことや考え方などまさかと思うが、全体的には史実に基づいているので、小説として成り立つ。かなりの長編だが休まず読んだ。
posted by たくせん(謫仙) at 14:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする