2021年12月30日

賢い人ほど騙される

賢い人ほど騙される
  心と脳に仕掛けられた「落とし穴」のすべて
Suspicious Minds - Why we believe conspiracy theory
ロブ・ブラザートン(訳 中村千波) ダイヤモンド社  2020.7

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 なぜ人は陰謀説を信じてしまうのかという内容で、興味深いと思えるのに、題名がおかしい。
 グー翻訳してみたら、「怪しい心」とでも言うのか、そして副題が「陰謀説を信じる理由」
 ついでにアマゾン書評をみたら同様の評価があって、帯の「悪用厳禁」もミスリード、と。
 中身とは意味ずれているようだ。

 陰謀説といえば有名なのは、
「ケネディ暗殺はアメリカCIAの… 」
「アメリカ同時多発テロはアメリカ政府の計画」
「爬虫類型宇宙人が人間を支配している」
「アポロの月着陸は捏造で、スタジオ撮影」
 アメリカ以外にもあるが省く。全て架空の真犯人が判るはずがない。もちろん証拠もない。
 証拠もないのに言う。「証拠を残さないほど巧みなのだ」
 なぜこんな話を信じてしまうのか、人の脳の仕組みから解説している。
 ひとつ例をあげよう。
 川に木が浮かんでいる。簡単に近寄る人と、ワニかもしれないと用心する人がいる。どちらが生存率が高いか。このように用心する心が生き延びて、陰謀説を生むことになる。〜のようだが、もしかしたら〜。

 この本はコロナウイルスパンデミック発生以前に書かれている。そして、内容はコロナウイルス陰謀説にも当てはまる。
「オバマ大統領が、武漢の研究所に作成依頼をしたウイルスが、漏れてしまった」
 これなど陰謀説の作成者の姿が思い浮かび、笑ってしまう。
 なんで、武漢の研究所に依頼するのだ、どうやって大金を払い、ウイルスを受け取るのだ。
 ワクチン製造薬品会社によるウイルス作成説もある。よくも全社員がいつまでも秘密を守れるものだ。
 ワクチン毒薬説もある。「2年後に死ぬ」など、まさか。

 実はわたしも薬品類は基本的に毒だと思っている。用量を間違えると危険だ。だから医師や薬剤師の厳重な管理の下で利用するのだ。素人判断で利用してはならない。薬局で売っているのは毒性が弱く、多少誤用してもなんとかなる。
 ワクチンは弱い毒で、それで耐性を獲得して、本物の強い毒に備えている。しかし、ワクチン毒薬説はそんな意味ではなかった。

 本の内容はいいと思うが、原文がまずいのか、訳者の日本語力が足りないのか、いささか読みづらい。
posted by たくせん(謫仙) at 13:10| Comment(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする