白 謫仙
小東邪は前に五子局を紹介したが、すでに五子は卒業している。今回三子局での初めての対局となった。
三子局では空きスミからとなる。白は小目に打った。黒は一間ガカリ。それをケイマにはさむ。
黒のワリコミに白は下から受けた。この受け方は白不利として、現在の定石書にはないらしい。わたしの好みだ。ここは白A黒▲となるのが普通の定石。
小東邪は知らない旧定石の白▲を見て、迷い出したようだ。しばらく考えて黒Aとついだ。しかし、ここはAを打たずに黒Bが定石。わたしは白Bとのびる。この形は黒ハマリに近いと言う人もいる。
こう打ってしまったら、後は参考図1のようになるのが普通。次善の手であろうか。
参考図1
黒1白2を打つと、その後は白6までで後手になる。黒も折を見てシチョウを抜くことになる。
小東邪は中で生きようとした。
しかし、このスミの黒に活きはない。黒1白2を交換しては、参考図1のシチョウ取りの手をなくしてしまう。わたしが白6を打つと小東邪はジロリと睨んだ。
「なんで本気になるの!!」
このスミは死活の基本形である。あまりに基本過ぎて、上級者でも忘れてしまい間違うことがあるのだ。
小東邪も覚えているはずなので、冷静ならスミに活きはないと判ったはず。それなのに、最初の白の下受けで迷いが生じついでしまい、白がノビて「しまった」と思ったのだろう。それが尾を引いてスミを読み誤ったようだ。
参考図2
左下A これは黒先でも活きがない。おそらく最初に覚える死活であろう。これを確認しておけば、この形になるまでを読んで、この先の読みを省略できる。
右下B これは白先でも死なない。つまり黒は活きているので手を抜いてよい。
AとBの中間の形、左上Cと右上Dは、白先ならハネてAの形になる。つまり黒死だ。逆に黒先なら活きる。
続いて、小東邪と小東邪の同級生阿九との対局である。
黒 阿九 6目半コミだし
白 小東邪
黒1に7の右に白2とハネて、死の形の基本形だ。続いて左側へ。
白5黒6白7と活きる。小東邪はこのように、この形のスミの死活は判っているのだ。この碁は中央の黒の大きさが勝負になる。最終的にはコミがかりとなった。