2008年07月21日

魔界水滸伝

魔界水滸伝
   栗本薫   角川書店  1981〜1991
 別次元から地球を侵略しようとするクトゥルーの神々と、侵略を阻止しようとする神州日本を中心とする地球古来の神々先住者との闘い。はやくいえば、妖怪と化け物の争い。クトゥルーの神々の圧倒的な力の前に滅びて行く人類を描いた小説。20巻だが外伝も何冊かある。
 先住者の北斗多一郎が主人公と言っていいのかな。みづちの若長(わかおさ)で正体は八岐大蛇。祖母の北斗礼津の正体は天地創造の神「女か」。
 安西雄介、正体は須佐之男命も主人公といえる。その参謀役加賀四郎とのコンビはなかなか印象深い。火の民の若長伊吹風太も重要。
 恋して次元の狭間に落ちる白鳥夏姫も気になる存在、正体は五位の鷺。
 人間界で人として生きていて、時に超能力を発揮する神々も、人間を離れられない苦悩。
 最後に地球が滅び、登場人物(神々)が108個の流星となって、新魔界水滸伝に続くことになる。水滸伝の序に相当することになるが、一応物語は完結している。

新魔界水滸伝
   栗本薫   角川書店  1995〜1996
 魔界水滸伝の数千年後。
 宇宙では二つの帝国が争っていた。その勢力の間に安西雄介と参謀役加賀四郎とのコンビが出現する。
 どちらに味方するともいえない微妙な立場で、第一帝国に取り込まれる。
 帝国と名が付いているように、中世的。初期のSFに多い、鎧兜を着て、光線銃を腰に、馬にではなく宇宙船に乗り、身分制度は厳格、というようなイメージの世界だ。当時としてもちょっと古い感じ。第二帝国のほうは民主的な予感。

 この書で作者は算用数字を多用する試みをしている。最初に読んだときは、読みにくく気になったが、慣れて来るに従って、この世界はそんなものと思う。だが違和感は消えない。
 第1巻の例をあげる。もちろん縦書きである。
「200年ほど前…」 「3人の末端に…」 「五000年…」 「二人を…」 「108の流星雨…」
 このように、半角数字と全角数字、漢数字と算用数字を使っているのであるが、成功したとはいえない。特に後半は漢数字がほとんどである。算用数字は縦書き文になじまない。やはり無理だったか。
 1995年から96年にかけて、文庫本で四巻まで出したが、「いよいよ展開しだした新魔界、…。また第5巻でお目にかかりましょう」の言葉を最後にして、わたしの目にかかっていない。
 内容が矛盾に満ちているという指摘もある。作者がそれに気がついて続けられなくなたのか、それらを見越したアイディアに齟齬があったのか。あるいは出版業界の事情か。
posted by たくせん(謫仙) at 09:34| Comment(1) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
図書本でしたぞ旧魔界水滸伝懐かしいですレズ小説だったんですよ南無北斗妙見にはおどろきましたそれではさようなら
Posted by 猫かつお at 2015年09月20日 08:31
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