2008年07月30日

長安異神伝

 長安異神伝
  乱紅の琵琶・将神の火焔陣・還魂の花燈・暁天の夢 全7冊
   井上祐美子   中公文庫   01.5
 天帝の甥である半神半人の顕聖二郎真君と、太歳童子東方朔のコンビが、唐の長安で起こる難事件を解決する話である。二郎真君は宰相魏徴の屋敷に居候しているが、この魏徴とて神界の者。
 唐の時代、長安は花の都といわれ史上に名高いが、夜間は碁盤の目のようなあの大通りは通行禁止であった。その碁盤の目の一郭を坊といい、その中は夜でも自由に通れた。
        chouanisinden.jpg
 その坊の壁に血しぶきが付いている。それが七たび、あわせると北斗状になる。
 初唐の太宗李世民の世、まだ滅ぼされて恨みを抱く前朝ゆかりの者もあちこちにいる。
 魏徴は皇帝を狙う呪詛と見抜いて更なる惨事を防ごうとする。
 そんなとき蜀から二郎真君が来て、魏徴の屋敷に居候して事件の解決をする。
 そのとき、翠心を見初め恋心を抱く。だが翠心は天界にゆかりがあるとはいえ人の身。しかも二郎真君が長安に来た目的は長安に巣くう悪霊を始末するため。関連して翠心を天界に返すため。返すと翠心は人ではなくなってしまう。
 事件の中でも最大のものは、炎帝復活であろう。数千年の眠りから覚めた炎帝神農氏は唐朝を覆そうとする。二郎真君にとっては唐朝はどうでもよいが、庶民に大災害が及ぶのは見過ごせない。それを防ごうと苦慮する。
 二千歳になる二郎真君、七百歳の童子東方朔。神と人では歳のとりようが違う。悪霊を退治しながらも、翠心のために人間になろうとする二郎真君は、ついに人と神に分裂してしまう。
 途中、武則天らしい人物が登場する。唐朝を簒奪し周朝にする伏線かなと思っていたが、太宗李世民のまま物語は終わっている。

こんな中国の神話世界を題材にした物語である。
SFを楽しめる人ならこの本も楽しめるはずだ。
posted by たくせん(謫仙) at 07:33| Comment(10) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお、なんという偶然!!
私もちょうど七冊読破したところです。
何度読んでもいいですねえ。
二郎真君、東方朔、三嬢、韋護、登場人物がみな魅力に溢れていて、
結末はしっかりわかっているのに、はらはらしながら一気に読んでしまいます。
七冊読んで興奮醒めやらず、臨安水滸伝を読んで、そのまま封神演義に突入してます(笑)
Posted by ちーねー at 2008年07月31日 00:55
井上祐美子さんの小説は再読に耐える。どうしてなんでしょうか(^。^))。
優れた小説はそういうものかもしれません。面白いというのとは少し違いますね。面白いといえば某ですが、再読する気にならない。
興味の問題もあるでしょうし、記憶力の問題もあるかも知れない。
こうして再読できる小説を知っているのは、ささやかながら人生の幸せと思いますよ。
最近は一気に読むことができなくなりました。
>七冊読んで興奮醒めやらず、臨安水滸伝を読んで、そのまま封神演義に
わたしなら途中で休みが入りそう。その休みがいつの間にか数か月経ったりします。
憶えているのは登場人物の個性ですね。ストーリーはほとんど忘れています。魅力ある人物を書けるのが小説家でしょうか。
Posted by 謫仙 at 2008年08月01日 07:10
そうなんです。何度読んでもまた読みたくなる小説との出会い、とても幸せなことです。
井上祐美子さんもそうですが、小野冬美さんの『十二国記』も私にとっては宝物です。読むたびに人間として大切にしないといけないものについて考えさせられます。

>魅力ある人物を書けるのが小説家でしょうか。
まさしくそうだと思います。
私は登場人物が素敵でないと、読むのがしんどくなってしまいます。
Posted by ちーねー at 2008年08月02日 02:04
小野不由実の十二国記は、アニメにもなったりして有名ですが、読む機会がなく、実はどんな物語なのか全然判りません。
いま図書館に予約を入れました。
インターネットの発達で、家にいながら、区内のすべての図書館の検索ができます。そして近くの図書館に取り寄せてもらえます。

登場人物に思い入れ、ファンになって続きを読みますよね。
Posted by 謫仙 at 2008年08月02日 07:42
「十二国記」気に入っていただけると良いのですが・・・。
何か、わが子を嫁に出すような心境です(笑)
ところで、そんなに好きな作家さんの名前を間違えてはいけませんよね。
ああ、恥ずかしい・・・。
Posted by ちーねー at 2008年08月03日 00:06
  こんばんは。
 二郎真君のこの物語、僕も好きですねぇ。かなりまとめて一気読みした覚えがあります。神でありながらも、悩み戸惑い続ける彼が好きでした。
 「十二国記」まだでございましたか。
 これは僕からもお勧めです。絶対にはまると思いますよ。
Posted by 樽井 at 2008年08月03日 00:50
ちーねーさん。
変換ミスはその場ではなかなか気がつきません。わたしは本文中でもよくやります。後で訂正。この繰り返しです。

いろいろ題名が並んで、順番が判らなかったので、取り合えす一冊、これで順序を確認して、順に頼むつもりでいます。
「黄昏の岸暁の天」
最新かも知れれません。
Posted by 謫仙 at 2008年08月03日 06:44
樽井さん。
この本の題名知ったのは、樽井さんの記事だったと思います。その時は食指が動かなかった。
全く知らない作者の場合、その名前のセンスで判断したりします。小野不由実の名前で「ちょっと」と思ったンです。
最近はこの手の名前が増えていますね。書評に注意しよう。
Posted by 謫仙 at 2008年08月03日 06:55
樽井さん、お久しぶりです。
実は私も十二国記を知ったのは樽井さんのおかげです。
とーっても感謝しています。

たくせんさん、
「黄昏の岸、暁の天」は後の方がいいかもしれません。
「月の影、影の海」を最初に読むと、全体の流れが
つかめると思います。
その後はどれから読んでも良いのですが、「図南の翼」は
早めに読んでおいた方が良いでしょう。
シリーズではないのですが、「魔性の子」も十二国記番外編です。
どうぞとりこになってください。
Posted by ちーねー at 2008年08月03日 23:29
ちーねーさんも、樽井さんのおかげですか。樽井さんの場合は、超読書家ですからね。しかも克明に憶えている! 驚きます。
さて「月の影、影の海」これも上下で2冊、いま頼みました。前に頼んだ「黄昏の岸、暁の天」は入りましたので今日取りに行きます。
どうなりますか。題名のセンスはいいと思いますよ。
「赤壁」を「レッドクリフ」なんていうセンスのない話も聞きますけど(爆)
Posted by 謫仙 at 2008年08月04日 07:31
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