グインサーガ122 栗本薫 08.8
王妃シルヴィアの病に悩み乱行を知ったとき、自分の力では王妃を救えないと悟り、別離を決意。別れの挨拶をして部屋を出る。
それが、ケイロニア王グインが、その王妃とこの世であいまみえた最後であった。
いやあ、なんとあっさり決めてしまったことか。グインではなく著者の話ですが。ここで話を聞いて、別れるならもう一冊くらいかけて別れを決意すると思うが、今回はたった3ページで決めてしまった。
もっともそこに至るイントロで二冊近くかかっているので、それを考えると不自然ではないか。
この巻ではローデス侯ロベルトの存在が輝く。盲目であり次男でありながら、兄の死で当主になったという。頭脳明晰で人の弱さを理解でき、シルヴィアの事を理解できるたった一人の人物である。宰相のハゾスが策を弄するのを批判し正しいと思う道を示すが、それでも最大の協力者となる。だからハゾスは苦悩を打ち明けることができたのだ。
「私は、もともと、なんでもよく出来る兄の下に生まれ、ローデス侯家の厄介者で終わるはずでしたからね。…略…。ですから、私にはシルヴィア姫のお気持ちもよくわかる気がするのです。―良くできたきょうだいを持って、おのれは何にもできぬとそしられているものの気持ちが」
まさに哲学者だ。ケイロニアの苦悩、ハゾスの苦悩を引き受け処理をしてしまう。この人の存在でケイロニアは救われたのかも知れない。
病の身とはいえ傑出した英邁なる皇帝アキレウス、軍神にして人情のわかるグイン王、各国の宰相では最も優れていると思える宰相ハゾス、軍事的には無力ながら心の支えとなるロベルトなど、優れた人物の多いケイロニアのたった一つの問題が王妃シルヴィアであった。
この問題は終わったわけではないが、一時危機を回避した。
本当にあっさりとグインが引いてしまったので驚いてしまいました。
いつものグインならもう少しなんとかしただろうし、そうであってこそグインだと思うのですが、、、「七人の魔導師」の世界に行くにはこうしかないといえばないんですよねぇ。。でも報われないというかやりきれない話です。
トラバ、はらせていただきました。
辛い話です。
今回のカバーの絵は、本文とは関係ない絵でしたね。わかい女が身投げして花と一緒に流されている。最近話題になった絵によく似ています。
さてトラバですが、受信されていません。何か文は書きましたか。なにも書かず、トラバだけでは受信されないようになっています。
トラックバックは、普通に文章が入っていましたが、、どうしてでしょう。
はてなは時々他のブログと相性悪かったりしますので、そういうことかも知れません。
シルヴィアは聡明というわけではないので、側近たちにもどこかで劣等感を感じていたのでしょうね。そこに姉が登場した。それで回りの空気が一変してしまった。それをどうすることもできない。
せめて、身を委ねる側近がいれば、と思います。