十二国記シリーズ
2008.10.13 記
北東の戴の国には王がいなかった。泰麒(戴国の麒麟)が誕生し、黄海の蓬山で育ち、王を選ぶ話である。
この世界の国を成り立たせるシステムを説明しているといったらいいか。麒麟の意味、黄海の蓬山の意味、あるいは国の意味など。なかなかこった作りである。
泰麒は、幼いころ親からも阻害され、幼児ながら鬱屈していた。黄海の蓬山に来てようやく心の安寧を得たが、そこは麒麟を養育するところ、成長すれば出ていかねばならない。
泰麒はこどもで麒麟の自覚がなかった。戴の驍宗と李斎が狩りに連れて行き、饕餮(とうてつ)と睨み合うことになり、使令にしてしまう。饕餮は麒麟が折伏できる妖獣ではなく、使令にはならないと言われていた。それを使令にしたので、世話をしていた仙女たちを驚かし、自らも麒麟であることを自覚する。
驍宗や李斎との別れの日が来た。驍宗が好ましく思えたが天啓がない。それなのに別れの辛さで驍宗を王としてしまった。そして新しい土地、戴の国に赴くが、天啓がないにのに王としたので、まわりを騙した自覚から鬱屈した生活をしている。
そんなある日、延麒(えんき)によって、天啓の意味を知る。何かはっきりしたしるしがあることもあれば無いこともある。この人と離れたくないと王にしてしまったのも、それも天啓の一形態だと。
こうして麒麟と王が戴の国を治め始めた。
饕餮(とうてつ)という動物が出てくる。古代中国の銅製品によくある獅子のような想像上の動物だ。ウィキの引用だが、
饕餮(とうてつ)とは、中国神話の怪物。体は牛か羊で、曲がった角、虎の牙、人の爪、人の顔などを持つ。饕餮の「饕」は財産を貪る、「餮」は食物を貪るの意である。何でも食べる猛獣、というイメージから転じて、魔を喰らう、という考えが生まれ、後代には魔除けの意味を持つようになった。一説によると、蚩尤の頭だとされる。
蚩尤とは何者ということになるが、ここでは説明はしない。
ついでに言うと、麒麟は麒麟ビールのマークでおなじみ。