2009年01月21日

千里眼 ファントム・クォーター

   松岡圭祐   07.1  角川書店
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 The Startで少し出てきた、ステルス技術。従来はレーダーでは捕らえられなくするのだが、それに加えて肉眼でも見えなくなる新しい技術が完成し、それでミサイルを包む。

 ロシアマフィアは核ミサイルのトマホークを手に入れ、見えなくする覆いを付けて、見えなくした。そしてメフィストに売り込む。メフィストは、日本の株を売りライバルの株を買う。そして日本を壊滅させて巨利を得ようと企む。
 そのステルス技術の最終確認のため、岬美由紀など世界中の透視者などと言われる人たちが集められた。そこが幻影の地区(ファントム・クォーター)だ。
 美由紀はそれを見破り、殺されそうになったが、なんとか脱出する。そして日本に帰って、台風の日に、東海地方の原子力発電所を狙って飛翔した見えないトマホークを打ち落として日本を救う。
 それと平行して、若い女性の心を救う話も進行する。
 美由紀自身も苦悩を抱える若い女性である。そのあたり親しみを持てる。

 ストーリーに少し御都合主義なところもあるが、面白いので良しとするか。若い女性を騙す詐欺師のやり方とそれを暴く話など、思わずうまいっ、と声を上げたいほど。ミステリーなら褒めるほどのことではないが。

 幻影の地区(ファントム・クォーター)。確かにソ連では地図にない町があった。ロシアもそれを引き継いでいるかも知れない。しかし、民間で、それも非合法組織ロシアマフィアが一つの島をそのような地区にすることができるのか。それもステルス技術確認だけのため。政府が非公式に認めていたと考えるしかない。

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以下 2016.6.8 改訂
 このステルス技術だが、理論的には一応出来ている。入ってきた光が「何重もの輪形の壁」を通ってちょうど反対側へ出るように出来る。現在のところマイクロ波では出来るが可視光線では出来ない。球形ではないので、輪の直角方向のみ。斜め上や下からはその「何重もの輪形の壁」が見えてしまう。全方向とはいかない。川の水が杭や岩の周りを迂回するように光を迂回させるのだが、上から見れば迂回しているのが見えてしまう。
 その見えなくなった「何重もの輪形の壁」の中に人がいたらそこから外は見えない。
 このことから飛んでいくミサイルを見えないようにすることは不可能なはず。
 将来も出来ないとはいえないが、現時点では否定せざるをえない。

 えっ、それが完成したと仮定する? それなら何でもありになってしまう。
posted by たくせん(謫仙) at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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