千里眼−洗脳試験を読んで、この本を思い出した。
宗教団体における大量殺人を扱った小説である。
わたしがこの本を読んで間もなく、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こり、まるで予言書のような気がした。
わたし自身、あの時間にあの場所を通るのである。偶然休暇をとって、あの日だけ、そこを通らなかったので、被害を免れた。

さて、本題。
アフリカの呪術者や密教の高僧などによる呪術合戦である。
最後に大量殺戮が行われる。
題名はマタイ伝にある、豚の大量死の話からとっている。
なお、アフリカ人について、
「まさか現代でも、裸で毒矢を持ってサバンナを走り回っていると、考えているのではあるまいな」
そんな会話にクスリと笑ってしまう。
呪術を必要とする社会の意味を、考えさせられる小説である。
例えば、水の問題がある。
アフリカのある土地では水を汲んできて、一定の時間が経たないと使用しない。飲むときは、その水を勧めた人が飲んでから、他の人も飲む。住血吸虫の危険があるからだ。
それは目に見えないため、どんな水も汲んでから一定の時間をおく。その間にこの目に見えない悪魔の虫は死に絶える。このようなことが生活のあらゆる所にあれば、呪術が必要になるのだ。