2009年01月25日

千里眼の水晶体

   松岡圭祐  角川書店   07.1
        senligan-3.jpg
 これもかなり問題の多い小説。

 旧日本軍が研究していた、マラリアと同類の生物化学兵器がばらまかれ、大勢の人が発病した。被害者にはある特徴があった。高度の潔癖症だ。そのため、免疫が弱くなり、発病した。発病から数十時間の命。その被害者を救う話。その生物兵器の特徴や防ぐワクチンなどの情報はマイクロフィルムになっており、それは6発の銃弾の中に隠され、発射されていた。それが松の樹にめり込んでいる。それは終戦直後の話。
 その秘密を追いかけ、アメリカに押収された書類などでは判らず、生き残っている当事者をハワイに訪ね、山形の山林であることを突き止めたが、それらの樹は山梨に移されていた。それが明治神宮の鳥居の近くに移され、今も残っていた。
 最後にその樹を突き止め、樹の穴の中にある銃弾をほじりだし、それから至急にワクチンを作り、治療する。
 製薬会社でも手持ちの材料では10人分のワクチンしか作れず、それは緊急の患者に回し、引き続き増産する。その間に本職の話もからむ。
 ハワイの往復は、民間機では間に合わないので戦闘機を使う。今回もスーパーウーメンぶりを発揮。

 わたしの三つの疑問。
1.潔癖症で、数年間、やたらに手や顔を洗い、衣食住すべてに注意している人がいるが、それくらいのことで空気伝染する病の免疫が弱くなるのか。呼吸しているなら普通の人と同じはず。普通の人は罹らない熱帯マラリア系の病だ。
 寒冷で無毒化。普通、熱帯の病が寒冷地で流行しないのは、媒介する蚊などが生きられないからで、毒は寒冷地でも無毒化しない。

2.発病してからワクチン投与で治るのか。ワクチンとは予防薬であって、治療薬ではない。発病してからでは効果がないはず。

3.クライマックスの松の窪みから銃弾を見つけるシーン。そんな調べ方では判るわけがない。銃弾が木にめり込んでも、六十年も経てば、まわりを新しく成長した木質が覆い、穴は塞がれてしまう。外から一目で判るのものではない。レントゲンとか超音波診断機のようなもので透視しなければ判らないはず。
 過去に戦闘が行われた地域の樹木は価値が低い。売れないと思ったほうがよい。製材するとき鋸の歯を痛める。つまり外からは、めり込んだ弾丸は見えないのだ。
posted by たくせん(謫仙) at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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