2009年02月06日

千里眼 ミッドタウンタワーの迷宮

 いかさま賭博の賭博場と化した中国大使館。そのいかさまのために、ミッドタウンタワーのあちこちに家宅侵入。見つかっても外交特権を振り回す。外交特権は家宅侵入まで自由なのか。
 岬美由紀は、その賭博の犠牲となった友人を助け出すため、自ら賭博に挑む。抜群の動体視力を維持するため、目薬を差す。それによって瞬きを少なくするのだ。だが友人の裏切りによって、偽の目薬に替えられていた。そしてシリーズ最大のピンチになる。
 力を総動員して、いかさま賭博で外貨を稼ぐ中国。しかし、そこでも犯罪組織に乗っ取られている。大使だけが実情を知らない。稼いだ外貨(日本円)はほとんどが犯罪組織の物となり、本国へは一部しか送られていない。
 そこへ本国から実力者が来る。美由紀はいかさまのやり方を逆用して、実力者を巻き込むことにより、友人を助け出す。
 賭博の名は愛新覚羅、初めて聞く名前だ。昔からあるのかな。このゲームの緊迫感がよい。

 目薬の話は唐突。目薬を差すのは初めてなのだ。「ミッドタウンタワーの迷宮」のために付け加えられたアイテム。いままで登場していない。全体が御都合主義(のようにみえる)とはいえ、不自然さを感じる。
 この小説のアイディアが初めからあったのなら、今までの三冊の中に伏線として登場させておくべき。
 伏線もなく登場するのは、推理小説におけるタブー「探偵だけが知っていた」と同じではないか。
 このシリーズはいつもそうだが、面白いので良しとするか。

   …………………………
 この後も続けて、「千里眼の教室」「千里眼 堕天使のメモリー」を読んだ。「トンデモ本」化している。

「千里眼の教室」
 岐阜にある、現代の学校問題を凝縮したような高校。そこが独立を宣言する。
 日本全体が数分間、酸素が三パーセント低下し、酸素欠乏症に陥って理性の意識水準が低下した。それをその学校の学生だけ過酸素によって治り、全国屈指の優秀な成績の高校になる。

  そんなことあり得るかねえ。酸素が三パーセント低下なんて、登山をしていれば日常茶飯事、高地に住む人はその中で生活している。それで意識水準が低下したと仮定しよう。それが過酸素で治るものだろうか。治ったとしても、治った高校生が優秀な成績になるか。元に戻るだけだと思うが。
 その酸素欠乏が、赤潮の発生によって生じた。ウワー。赤潮で海中の酸素不足は判るが、陸上の日本全体が三分間だけ酸素不足になるか。岐阜の田舎でも三分間だけ。

「千里眼 堕天使のメモリー」
 いろいろあって、このいろいろがメチャクチャだが、それは仮に成立するとして…。
 東京湾沖で700メガトンの爆発を活断層で起こし、大地震を発生させる計画。それを阻止するため美由紀は東京湾沖に行く。活断層での爆発は防ぐが、水上近くで爆発。泳いで、船底の下に潜り込み助かる。
って、おいおい、息を止めて泳いで、爆発物から遠離った程度で助かるか。700メガトンだぞ。作者は700メガトンの意味が判っていないのではないかと思ってしまう。
広島原爆の50000発分だ。

 ストーリーは面白いのに、こういう肝腎な部分がトンデモ化しているのが残念だ。
posted by たくせん(謫仙) at 08:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/113749562
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック