2009年04月27日

レッドクリフU

 パートTで結集した、曹操軍と孫権軍がいよいよ赤壁の戦いを決行。
 その前に、諸葛孔明が、霧に紛れて10万本の矢を集める話などで緊迫感を高めていく。
 パートTで曹操の基に走った曹操水軍の長を、情報合戦で曹操に殺させるところなど、周瑜の策は冴える。
 黄蓋が申し出た苦肉の計は決行しない。そして決戦の時、周瑜の妻小喬が曹操のところに行き、茶を点てたりして、決戦の時を誤らせる。
 三国志とも三国志演義とも異なる筋立てだ。赤壁を題材にしたアクション映画。
 曹操軍の船を焼くために、魚油を用いる。それがダイナマイトのように爆発する。ウーン、爆発するものだったか。甘興(中村獅童)が実験する場面も、瓶の魚油を岩壁にぶつけるとどうしてか爆発していた。
 劉備軍も決戦には突撃する。しかし目立った活躍はない。まあ当時劉備軍はたいしたことはなく、史実は魏と呉の戦いなので、仕方ないところ。諸葛孔明の名軍師説は三国志演義そのまま。実際の孔明は軍事的には無能で、戦には勝ったことがないのだが。
 そんなこんながあったが、戦いのスペクタルシーンは、圧倒される。膨大な曹操軍の陣、長江を埋め尽くす軍船、それが燃え上がるすさまじさ。
 それなりに無理があったり、矛盾があったりするが、もしかしたら、中国映画の最高位に位置される映画になるかも知れない。
 アメリカなら、「風と共に去りぬ」が国宝となり、最高であるというが、古い映画だ。 日本でも高度成長期のころに優れた映画が多い。最盛期より勃興期に優れた映画ができる傾向がある。
 張紀中ドラマでも初期の笑傲江湖や射G英雄伝が評価が高い。

 後に劉備に嫁ぐはずの孫尚香が曹操軍に潜入して捜査、綿密に曹操軍を調べ上げるとか、小喬が曹操のところに行くなど、かなり無理な設定。
 最後に呉と劉備軍の主立った面々が単独の曹操を追いつめる。ああそれなのに、逃がしてやるとは。それはないだろう。
 劉備・関羽・張飛・趙雲などは小隊長みたいなものだから前線にいるのはともかく、呉の軍師である周瑜までが単独で兵士のように突入。そして趙雲と互いに背中を預ける。軍師のいなくなった呉軍はどうなるんだ。

 個人的なことだが、小喬の口元がある人にそっくり(^_^)。ご主人は有名人なのだが本人は普通の人。

 呉軍が出陣前に、鎧姿で冬至のしきたりとして椀に入れた団子を食べる場面がある。
 孫尚香がふるまうのだが、それはともかく、大勢が自分の分を一個スプーンで周瑜にやる。それを周瑜が一気に口に入れる場面は笑ってしまった。
 各椀にスプーンが入っている。ここは箸か蓮華を使うべきだろうな。もっとも中国で蓮華を使うようになったのはいつからだろう。とにかく(ブラスチックの)スプーンはなかっただろう(^_^)。

 曹操軍は疫病が大問題となる。史実では曹操軍は疫病に負けて引き揚げたともいわれているほどだから、これも大事な場面。けっこう力を入れて描写している。

 普通の日本人は三国志を知っていて、その知識で補いながら、見ているだろう。あれれ……と思ってしまうことが多い。これは赤壁ではなくレッドクリフだ。三国志を知らない人でも楽しめるはず。
posted by たくせん(謫仙) at 16:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 山房筆記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鑑賞されましたか!(^^)
私の感想も、似たようなもんでした。
本当に、これは赤壁ではなくレッドクリフ、ですね。

>瓶の魚油を岩壁にぶつけるとどうしてか爆発していた。
これは思い至りませんでした。
爆発させるには、信管とかが必要なんですよね?
雰囲気で納得してましたが。

>史実では曹操軍は疫病に負けて引き揚げた
ここは残酷ながら、リアリティがありました。
小喬や孫尚香が活躍するよりも、ずっと(笑)

>中国映画の最高位に位置される映画になるかも
アクション映画としては、かなり手が込んでますよね。
パート1・2に渡る長編ですし。
その場合は、中国でのタイトルも、
「赤壁」ではなくて、何か全く違うタイトルの方が、
後世の人間は納得できそうですね!(^^)
Posted by 阿吉 at 2009年04月27日 21:34
阿吉さん。
感想が似ているのも当然で、わたしは阿吉さんの感想を読んでから書いたから(^_^)。
信管は発火装置ですが、そういう意味ではなく、油は爆発しません。たとえばテンプラ油に火が入っても、激しく燃えるだけで爆発はしませんよね。ガソリンはガスなので爆発的に燃えます。それでもあのような爆発はしないでしょう。
武侠ドラマで、火葬などで、火をつけると瞬間的に全体が燃え上がりますが、実際に薪を燃やすのはたいへんなこと。わたしは内力で燃やしているんだと、無理して納得しています。
疫病の場面はリアリティがありましたね。あれで全体の虚構が引き締まりました。

中国の場合は、赤壁以外適当な名前は…、赤壁は歌枕と同じように特殊な意味を持っていて、替えにくいでしょうね。だから「レッドクリフ」にあれだけの苦情が出たのでしょう。「三国志を知らない人が考えたのではないか」なんてね。
Posted by 謫仙 at 2009年04月28日 19:44
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック