2009年05月01日

にせユダヤ人と日本人

浅見定雄   朝日新聞社   1983・12

 「日本人とユダヤ人」という本があった。
 1971年に大宅壮一賞を受けている。その中の「日本人は安全と水は無料だと思っている」という言葉は、あちこちで使われ流行語のようになった。
 わたしはこの本を読んで宗教観が変わった。ところが、宗教の本ではなかったらしい。
 つまり、
 日本人は安全をタダだと思っているが、ユダヤ人は少しで余裕があれば、安全のために投資する。日本も危なくなってきた。安全のために投資すべきだ(軍を完備せよ)。
 と、いっているのだが、その部分は影響を受けなかった。
 これに対して著者は「日本人とユダヤ人」の数々の間違いと、論理矛盾をついている。これを読んでようやく「日本人とユダヤ人」の主張する再軍備論に気がついたのだ。
 当時、安全のために投資することを、防火設備を完備とか、鍵を簡単に破られないものにするとか、地震に耐えられるようにする、などという意味だと思っていた。

 この本では「日本人とユダヤ人」のウソを一つひとつ指摘していて、当時思った数々の疑問が氷解した。
 早い話、昔から水争いがあり、安全でないことはいろいろあった。そこからわたしの疑問は始まっている。
 高級ホテルに寝泊まりするビジネスマンの話も、不思議だった。あの貧しい時代のビジネスマンが、そんな高級ホテルに泊まれるのかなどと。
 わたしのユダヤ教の知識は常識を一歩も出ない。この本はそのわたしを納得させる本だ。「日本人とユダヤ人」を読んで疑問に思った人(思わなかった人も)の読む本。

 余談: 「日本人とユダヤ人」では、ユダヤ人は「全員一致は無効」だったという。
 わたしは、ユダヤ社会では多数派は、その中から必ず一人は反対投票をするのかと考えた。つまり反対派全員が賛成投票をした場合の備えである。
 実際には「全員一致は無効」ということはなかったという。
posted by たくせん(謫仙) at 11:13| Comment(12) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ずいぶん前に『日本人とユダヤ人』を読んだので内容は忘れていましたが、確かににこのブログに書かれているような「日本人は安全をタダだと思っているが、ユダヤ人は少しで余裕があれば、安全のために投資する。」ことが
かかれてあったことは思い出しました。私も安全という言葉は「防火設備を完備とか、鍵を簡単に破られないものにするとか、地震に耐えられるようにする、」などという意味だと思っていました。この書に異議を唱える著書があるということなのですか。教えてください。
Posted by 深山あかね at 2009年06月09日 09:22
深山あかねさん。
異議をとなえるのではなく、間違いを指摘しているのですよ。
>私も安全という言葉は「防火設備を完備とか、鍵を簡単に破られないものにするとか、地震に耐えられるようにする、」

とわたしも考えたが、しかし、言っていることは優秀なガードマンを雇うなどで、防火設備などのことは一切言っていません。国もガードマンを雇えと。つまり軍の強化ですね。

安全は只ではないなど、いろいろな間違いを考察すると、危険の意味が外敵の侵略だった。それで腑に落ちたわけです。

当時のユダヤ社会の話ですが、「言っていることは出鱈目だが、ユダヤ人を好きという希有の人だ。だから許してやれ」
で、ユダヤ人からは表だった批判はなかった。と知ったときから疑問に思っていたンです。それがこの本を読んで疑問が解けたわけです。

こんな説明でお判りになったでしょうか。
Posted by 謫仙 at 2009年06月09日 19:29
お答えありがとうございました。何もわからないで何でも鵜呑みにしてありがたがって読んでいました。
あれから又思い出してみて、私が印象に残った言葉は「内なるゲットーと、外なるゲットー」(?)という言葉でした。差別のメカニズムについて考えていたころだったような気がします。『にせユダヤ人と日本人』も読んでみたいと思いました。
Posted by 深山あかね at 2009年06月11日 22:19
>「内なるゲットーと、外なるゲットー」
内では自由に、外では自分を隠して…、という話ですね。
日本にはなかったと言うが、日本人が日本で日本人であることを隠す必要はない。
でもいまでも在日の韓国朝鮮人が、隠している話が良くあります。その程度のことで、キッシンジャーをはじめ多くの人が隠さずに堂々と活躍しています。
当時のニューヨークはユダヤ人が4分の1以上。ユダヤ人であることを隠す必要はなかったでしょう。たとえはニューヨークのユダヤ人です。これだけの人数が高級ホテルにひっそりと住むことは考えられませんよね。

ただ、全くないというわけではないので、複雑です。ユダヤ人に限定する話ではありませんね。
Posted by 謫仙 at 2009年06月12日 05:40
私のほうにコメントありがとうございました。実は仕事に行く時間に追われていて、操作を誤ってコメントを消してしまいました。せっかくコメントを頂いて大変うれしく思っていたのに失礼なことをしてしまいました。すみません。今復旧についてがんばっているところです。
Posted by 深山あかね at 2009年06月12日 22:10
深山あかねさん。
ブログのコメントは復旧できないでしょう。
気にしないで下さい。
わたしのホームにリンクしましたので、その挨拶のようなものです。

本のジャンルは違うのですが、読んで一番印象に残ったところを中心にして紹介する。あなたの書き方はわたしに似ていますね。
これからもよろしく。
Posted by 謫仙 at 2009年06月13日 07:59
はじめまして大絶画と申します。
復刊ドットコムに『にせユダヤ人と日本人』をリクエストしました。みなさんの投票次第で復刊される可能性があります。投票にご協力ください。
なおコメントが不適切と感じられたら削除していただいてかまいません。

『にせユダヤ人と日本人』投票ページ
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=49301
Posted by 大絶画 at 2010年01月25日 14:51
大絶画さん。
わたしはもう読んでしまったし、内容も良いものではないし、復刊する必要性はありません。
参考のために読みたい人がいるかも知れませんが、わざわざ読むほどの本ではないことをおことわりしておきます。
Posted by 謫仙 at 2010年01月25日 17:32
謫仙様

実を言いますと、読了する前にリクエストしてしまい、現在はリクエストしたことに後悔しています・・・。
ただ復刊ドットコムには『にせユダヤ人と日本人』以外にも多数の書籍が登録されておりますし、「リクエスト検索」から本の検索も可能です。
機会があれば復刊ドットコムを利用していただければと思います。
Posted by 大絶画 at 2010年01月26日 08:54
大絶画さん、遅くなりましたが、誤解があるといけないので書いておきます。
『にせユダヤ人と日本人』は「日本人とユダヤ人」を読んで疑問に思った人が読む本で、単独で読んでもあまり意味がないという意味です。

わたしはこの本を持っていて、復刊の必要はないんですが、あなたが、興味を持ったのなら、読む価値があると思います。
本というのはほとんど興味があるかどうかで決まりますからね。
だから後悔することはないでしょう。
Posted by 謫仙 at 2010年02月02日 06:36
謫仙様

前回そして今回のコメントは謫仙様だけでなく謫仙様のブログをご覧になっている皆様に向けて書いたものです。

そもそもリクエストしたきっかけは「『日本人とユダヤ人』が角川文庫・新書と版を重ねているのに、なぜ反論書である『にせユダヤ人と日本人』は絶版になったままなのか?不平等ではないか。」ということでした。

そして両者を読んで感じたのは山本氏の言語に対する無知識そして差別に対する無感覚(これは『にせユダヤ人と日本人』でも指摘されていましたね)。いっぽうの浅見氏も山本氏に対し大人げもなくチクチクと批判をしているように思えました。これが前回のコメントで「後悔しています…。」と書いた理由の1つです。

また漫画や文芸書に比べ本作のような思想書・哲学書(『にせユダヤ人と日本人』は準思想書とでも分類すべきでしょうか)は投票率が低い傾向にあります。そこで投票率を少しでも上げるため謫仙様のように個人ブログで書籍が紹介されている場合、言い方は悪いですが、宣伝に“利用”させていただいています。こういった地道な努力をしないと票が稼げないのが現状です。くわえてブログ主ですら「読むほどの本ではない」といった本を宣伝してしまって情けないというのが2つ目の理由です。

お手数をおかけして申し訳ありません。自意識過剰なのかもしれませんが、ブログという公式の場で皆様に少なからず不快な思いをさせてしまった自分が恥ずかしいのです。
Posted by 大絶画 at 2010年02月04日 16:19
大絶画さん、誹謗中傷や無関係の話でなければ、宣伝に“利用”するのはいっこうにかまいません。大いに利用して下さい。

>「『日本人とユダヤ人』が角川文庫・新書と版を重ねているのに、

へえー、そうなんですか。そうなると確かに「にせユダヤ人…」も必要になりそうですね。それなりにインパクトのあった本なので、『日本人とユダヤ人』の出版をやめろとはいえないし、読むなら両方比べて読んで欲しいものですね。
Posted by 謫仙 at 2010年02月05日 08:18
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