2009年05月13日

合葬

杉浦日向子   筑摩書房   1995.12
       sugiura2.jpg
 江戸時代考証で高名な杉浦日向子は漫画家だったという。どんな漫画を書いていたのか知らなかった。図書館で検索して借り出し、初めて見たのがこの本である。
 人物の絵はウマヘタなんだろうか。これは上手いと目を見張るような絵ではない。かといって、下手でもない。ただ、動きのない絵だ。現代劇画は動きを表現するが、杉浦日向子の絵はストップモーションのようで動きがない。
「合葬」は幕末の彰義隊を題材にした物語だ。これ一冊だけでははっきりとは言えないが、杉浦日向子の劇画は爆発的に流行するような劇画ではない。それでいながら、かなり質の高い、無視できない劇画だ。特に背景のこまごまとした絵が、時代を撮している。もしかしたらそれを画きたかったのかも知れない。
 二人の武士が対談している。茶はもちろん畳の上、後ろには床の間、脇に開いた障子、障子の下の方は板目板。その外は濡れ縁があり、庭が見える。それらはきちんと画きながら、二人の武士はウマヘタな感じで、表情が出ていない。
 あるいは屋根瓦を鬼瓦の模様までも丁寧に画きながら、その向こうにいる人は、刀を差して歩いているようなので人だと判る程度。
 背景を細かく画けるのは、時代考証の正確さによる。劇画を画きながら、時代考証を学んでいたという。
posted by たくせん(謫仙) at 07:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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