この本を読むと幸せになれる。この本は「老人」の哲学書だ。
子供は知識を、青年は生き方を、壮年は社会の理想を、老年は人生を哲学する。
帯の言葉は、
人間は食の容れ物であり、苦楽の容れ物である。
だからこそ、大切な人とおいしく食べたい。
ひとりでも温かく、心豊かに人生を過ごしたい。
食の歓び、道具の愉しみ、楽の憩い。
五感をたっぷり潤わせ、限りある命に乾杯しよう。
江戸文化の達人が残した人間賛歌
はっきり言って杉浦さんはお金に心配ない人だ。贅沢をしようと思えばいくらでもできる。そんな人が、このおむすびは美味しい。あのランチは美味しい。と言うように普通の目を持っている。
あるいは集まってしまったという数百個の酒器。上品な着物。
あるいはたった一人の正月。昼まで寝ていて、蒲鉾だけのおせちでお酒。それが杉浦さんの筆で、上品な幸せそうな正月の過ごし方に思えるから不思議。
あるいは銭湯。老若ともにそれぞれ特徴があって、人の一生が判り、心の鎧が溶けていく。そんなふうに言われると銭湯がとてもいいものに思える。
あるいは船旅。一日中揺れる船で波を見つめているだけで至福の時となる。
これらはよく考えると、たいしたことではない。それが全ての人の生活を肯定するような安心感を与え、上品に生きる喜びを知る。
読んで良かった一冊。
あの本は凄かった・・・
小説といいながら、料理のレシピ集といった感じの本でした。
カレーライスもありましたっけ・・・
杉浦さんとは対極の本でしたが・・・
といって杉浦さんの本を読んだことはないのですが・・・
『美味しんぼ』のルーツというような内容ですが、料理の基本とは
最も、料理ばかりでなくて、当時のことについて色々と考えさせる面も
多くありました。
でも、私は食べるということは杉浦さんに共感できそうです。
蒲鉾だけのおせちでお酒・・・
寝ていて、おきて呑みたくなって、手元にあったのが、
蒲鉾と酒・・・
それがあったことの幸せ・・・
それを味わうことができる・・・
杉浦さんは、幸せな人だったのだと思います。
私も下手なフルコースよりも、小諸の駅のカウンターの店の
400円の野菜とゲソの天麩羅うどんのほうが好きです。
最も、最近は味が落ちて残念ですが・・・
その本は読んでないのですが、料理について蘊蓄を傾ける小説はいくつか読んでいます。それが本当に美味しいかどうかは、人によるしタイミングにもよるでしょうね。
それに毎日食べるものはあまりうますぎてはいけないとか。かすかな甘み。米や小麦こそ毎日食べて飽きない食品。
それは極論にしても、フルコースなど続けると飽きそうな気がします。
毎日気軽に食べて美味しい。そんな美味しさを求めているように思えます。
蒲鉾だけでもタイミングによっては……
それを幸せと感じられるかどうか。心の余裕にありそうな感じです。