2009年08月15日

江戸アルキ帳

杉浦日向子   新潮社   平成元年

        edoarukicho.jpg
 SF小説の形をとった、江戸のガイドブックである。
 ある人は潜水にこり、ある人は自動車にこる。著者は毎週日曜日にタイムマシンに乗って江戸の散策をすることにした。

   この本は
   江戸の町が
   私達の町の
   すぐ隣に
   有る気で
   歩き
   或る記に
   したものです。


 と言うように、江戸の町を案内する。当時、ちょっと遠くへ行くと、上野の山やお茶の水や新宿でさえ、深山幽谷のおもむきを残す。さらに遠くへ行けば、もはや辺境とでもいえるほど、未開の土地。
 電気はもちろんないので、冷暖房は涼風と火鉢や炬燵ていど。そんな中でのんびり暮らしている江戸人の様子などもえがく。
 2頁のうち1頁が文章で1頁がその様子のスケッチだ。そのスケッチのレベルを見れば、 この文章の裏にどれだけの知識の裏付けがあるのか想像できる。
 のちの「お江戸でござる」の名解説もこの知識有ればこそ。
 スケッチは漫画家であったことを思えば納得できるが、この知識は尋常ではない。さらに知識とは異なる文章力もある。まさに「筆が立つ」人でもあった。

 よく「もう十年(…)であれば…」という嘆きの言葉がある。もちろん、そのようなことを言うような人が「もう十年(…)であっても」結局は同じと思うが、それでもそう思うことが多くある。
 ()の中は、早く生まれていれば、早く知っていれば、若ければ、待つことができれば、など、ほとんど結果論である。結果論であるが、わたしは思う。
「もう十年早く、杉浦日向子を知ることができれば、人生が変わったであろう」
 この本はそれを実感します。
posted by たくせん(謫仙) at 06:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
江戸の人口は、100万人を超え、世界一だったと聞いたことがあります。
「お江戸でござる」の杉浦日向子さんの話しだったような気がします。

杉浦日向子さんの話しでは、貧しくとも平和で、人々か豊かに楽しく、人々が暮らした素敵な街として描かれていたように思います。
そんなはずはないのですが、杉浦日向子さんの話しを聞いていると、いい時代だったような気がします。

でも、物があふれた、今が、江戸よりいい時代かというと・・・
問う虚絵が嫌で逃げだした私には、なんともいえません。

冬はコタツとファンヒーター、自動車はなし・・・
人は呆れますが・・・
住めば何とかなります。
江戸時代よりははるかに快適なはずです。

困ったことにパソコンの稼働時間が長すぎます。(笑)
Posted by http://shinshu.fm/MHz/90.97/ at 2009年08月21日 20:25
いま中国旅行から帰ってきました。
世界一はともかく、100万を超えていた、人口密集地帯。
杉浦日向子さんは、その影の地方の貧しさも知っていて、その上で江戸を書いているので、説得力がありましたね。
江戸の貧しさは狭い家と、文字通りのその日暮らしで納得できました。これも比較の問題で、社会全体がそうなら、それで満足していたと思えます。
ただ、当たり前ですが、わたしたちが行ってはとても住めそうにない、ひどい住宅食事事情でしょう(^。^))。
わたしもパソコンに頼ることが多くなりました。
Posted by 謫仙 at 2009年08月25日 23:37
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