2009年08月21日

隠居の日向ぼっこ

杉浦日向子   新潮社   05.9
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 江戸とは少し離れた、昔懐かしい品々に関する随筆である。知っていれば心が豊かになるが、知らなくてもさほどのことはなく、そして知っていても蘊蓄を傾けるほどのものではない。そんな軽い話が50話。
 お歯黒の話もある。わたしたちがいま時代劇を見ていて、髷がおかしいという人はいるが、女性がお歯黒をしていないのはおかしいと言う人はいない。でもわたし(謫仙)が若いころの映画はお歯黒をしていた記憶がある。
 そんなちょっとした話の寄せ集めだ。踏み台にしても浮世絵にしてもすごろくにしても、ただ説明するだけではなく、著者独特の江戸に連なる職人や遊び人を彷彿させる深みがある。そして各話に添えられた挿絵が、話の印象を深める。
 そして読んだそばから忘れてしまう。これは忘れても必要なとき「そういえば杉浦さんか言っていたな」という形で思い出すだろう。
 そんな隠居の話のような随筆。
posted by たくせん(謫仙) at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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