主目的は、大理にある「天龍八部影視城」。金庸原作のドラマ天龍八部の撮影所だ。
ドラマ作成のため、一億元以上かけて撮影所を作ってしまう。そしてそこは観光地となってにぎわう。他にも射G英雄伝では桃花島「射雕英雄伝旅游城」と「桃花塞」。神G侠侶では象山「象山影視城」。
金庸小説は昔は発行禁止だった。共産党を揶揄しているといわれた。ところが許可されるや一転、中国の看板になってしまった。
岡崎さんはその金庸小説を訳し紹介した人である。
05年撮影。門の対聯は前に雲松書舎で説明している。
あとで聞いた話だが、門を入ろうとしたとき、ガイドが門の対聯の説明を始めたらしい。岡崎さんが「そんなことはみんな知っています」と遮ったという。時間が惜しい。
説明なしで対聯の意味が判るオタク的な12名と、岡崎さんと添乗員の団体旅行だった。
この旅行記は雲南憧憬 に書いている。
この城に珍瓏を中心とした碁の一画がある。
ここから右の一画は、碁に関するいろいろがある。と言ってもたいしたことはない。
「大理旅游杯」第一回世界女子プロ棋戦の参加棋士のサインである。この棋戦は一回限り。
小西和子・青木喜久代・祷陽子・万波佳奈・矢代久美子・芮廼偉(ゼイノイ・ゼイダイイ)・謝依旻の名がある。
2006年11月24日
この石碑の後ろに無崖子の珍瓏棋局図がある。
前に「天龍八部の珍瓏」という一文を書いたことがある。そこではいろいろ考察したが、一応決定版が判った。
珍瓏図。糸は切れ図がゆがみ、鉄はさび、あまりにみすぼらしい。
かなりの打ち手である蘇星河が、30年研究しても解けない。小説では、その珍瓏は、
1.盤上には200以上の石が置かれている。
2.一カ所、20目以上の白石がセキで生きている。それをみずから目をつぶしてセキ崩れで死んでしまう。
3.それが、八方ふさがりの白を救う。
この図にセキはなく、上の条件を満たしていない。
この左下は、評判の高い江戸時代の珍瓏に似ている。
白番である。虚竹(こちく)はでたらめに石を置く。
見にくいが、少し時間をかければ、多くの棋客が、左下に目がいこう。左下は白番の詰め碁「白先黒死」。手抜きは黒が白を取って活きてしまう。
虚竹が打ったのは2−十七、一目抜きである。黒は3−十七ウッテガエシ。ここまでは考えるまでもない。判りやすく図にする。
この後白が数手を打って終局となる。白は3−十八キリを打って左下の黒を殺したはず。手抜きは黒カケツギで生きてしまう。これだけのことを30年研究して判らないとは。
ドラマの蘇星河の棋力はアマ初段に届かないとみた。
ドラマでは段誉がここに来たときは次の図であった。
7−十七ウチカキが入っている。これでは黒は2−十八カケツギで活きてしまう。7−十七は不要の一手であった。ドラマではここで白番である。黒は7−十七を打たれたとき、どうして活きなかったのか。おそらく、撮影の手違いであろう。
わたしは、この場面のためにこの珍瓏を作ったことを高く評価している。わたしの知る限りだが、他では碁の図はでたらめばかりだ。
日本では、「篤姫」の碁の場面を梅沢由香里が監修して、高い評価を得ている。こういうところがでたらめだと、他の場面もでたらめではないかと思ってしまうのだ。
ただ、せっかくこれだけの珍瓏図を作りながら、ドラマ撮影の扱い方はお粗末。残念だ。
続いて碁の絵。その前に「珍瓏棋局」の説明。この写真の右には無崖子居。
無崖子居。ドラマでは妙に生活実感のない家だと思っていた。死んだと思わせ密かに生活していたのだ。家前の碁はドラマとは無関係。さらに右に無崖棋廬が続いている。
無崖棋廬の中に碁盤があった。碁笥は穴である。使いにくそう。これでも碁笥と言うのかな。
…………………………
補足:「天龍八部の珍瓏」に書いた以外に、ドラマの天龍八部ではもう一カ所碁のシーンがある。段皇帝が黄眉和尚に段誉の救出を頼むとき碁を打つ。これは石の持ち方打ち方が自然であり、今回見るまで気がつかなかったほど自然に流れている。黄眉和尚役の俳優は碁を知っている。
珍瓏は行きたくて行けなかった場所なので、
こうやって記事にしていただいてとっても嬉しいです!
無崖子居は、なんか勝手に洞窟の中、とばかり思っていました。
ちゃんと家だったのですね。
この記事、旅の続きにするか迷ったのですが、専門知識も入り、前の記事とし関連性もあるので、こちらにしました。
ドラマの場所とは違うし、家の前には意味のない盤石があるし、思っていたのとは違うイメージでした。
小説では家で、別の部屋があったと思いますが、棋廬から無崖子居には通じていません。
もう一度ドラマのこのシーンを見てみないと、詳しいことは判りませんね。近いうちに見てみようと思っています。
珍瓏の写真はとってもうれしかったです。ああ、雨が憎い〜〜
これから城内散策のときの豪雨、とても歩ける状態ではなかった。たまたま金庸の資料館みたいなところで時間を潰しましたが、惜しかったですね。
珍瓏の写真はみすぼらしく、それ自体は見るほどのことはありませんが、「天龍八部の珍瓏」のところで書いたようにいろいろ考察したので、その決定版が判ったので満足。
たの絶壁の珍瓏はもちろんありません。どこで撮影したんでしょう。
江湖の旅は順調にいかないものです。(^_^)。
天山童姥が無崖子の書いた絵を見て
ホクロがあるから李秋水ではないと判断したけど、
どう見ても絵にホクロないし。
巨大碁盤見たかったなー。
碁石凄く重そう。
あの絵は、ほくろとえくぼで妹だと判るんでしたね。ほくろのこと気がつきませんでした。もう一度見てみます。
細かくみるとあちこちで矛盾しているのですが、どこまで許容できるか。岡崎さんもここは矛盾していると判っていても、変えるわけには行かず、そのまま訳したと言います。金庸さんに問い合わせたこともあって、金庸さんも気がついていなかったので、訂正の了解を得たこともあると言います(^。^)。
この碁石、あの子供が重そうに動かしていましたよ。