2009年10月02日

天虫花

式貴士   CBSソニー出版   1983.4
 表題作を含む短編集だが、ロマンチックな話を集めている。
 あくまでもSF、それも昭和のSFである。たとえば宇宙人が出てくるとか、変身とか、いかにもSFっぽい話ばかり。
        tenchuuka.jpg
 表題作の天虫花など、その星では夏は数年あり、って一年はどうして決まるんだという疑問はさておいて、ある夏の乾期には、雨期のときに生まれた微小な虫が、風船のように空に飛び、集まって珊瑚のような群体の花となり、雲を形成するのだ。その雲さえ花の形。天気予報は、この雲の様子を予測する。
 ここまでは序。それから物語が始まるのだが、それは本を読んで頂くとして(本を手にすることは難しいが)、こんなロマンチックな話ばかり。
 水中花では、五色沼の水中花となる美人との、はかなくも美しい恋。
 ミステリーもある。
 死んだ人から電話がある。思いこみと誤解で話が進み、最後にはもちろん謎は解けるのだが、世間的には解決したとは言いにくい。
 その誤解を生み出すのは、けなげな女のそのけなげさを理解し、恋していたからこそ。

 画家が忙しすぎて、原稿を読む時間がなく、カバーの絵が先に決まり、その絵に合わせて小説を書いたという。
 それにしても天虫花のイメージ、これだけでわたしは式貴士を忘れることがない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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