2009年10月24日

プルシャンブルーの奇妙な黄昏

プルシャンブルーの奇妙な黄昏 津山紘一第一創作集
津山紘一   徳間書店   1979
 ショートショート集と言ってもいいと思うが、正確な定義に当てはまらないようなので、SF短編小説集ということにする。
 副題のように最初の本である。
        
        purusianburuu.jpg
 この奇妙なロマンチックさファンタジックさがいい。普通のロマンチックな話とは微妙にずれているのだ。
 最後にあとがきともいえる著者のモノローグがある。これも作品の一部のようだが、判りやすい特徴があるので紹介する。
 著者は大学卒業後、カメラマンとして就職したが、退職して三年ほど渡欧している。その時の話。
    
 コペンハーゲンの安ホテルで滞在していた時、イタリア人の神父と神父の卵達が十人程泊まっていた。毎朝ホテルの前で、彼らは僧衣を着て賛美歌の練習をしていた。
 ある朝、道の向こうをグラマーな金髪女が通りかかった。
 すると神父達は賛美歌をやめて、いっせいに口笛を吹きはじめた。中にはイタリア語で何か叫んでいる者もいた。
 女は知らん顔をして、大きな尻を振りながらとおりすぎた。
 そして女の姿が見えなくなると、神父達はまた静かに賛美歌を歌いはじめた。


 喋りすぎず、余韻を残して、軽いユーモアで終わる。全編これに近い書き方だ。「第一創作集」とあるように初期の作品であり、総じて稚拙ではあるのだが、著者の特徴がよく出ている本だと思う。
 七八十年代に本を出しているが、数は少ない。その後は書いていないようだ。わたしが読んだのは数冊。なつかしい作家だ。

 地球を風呂敷に包んで逃げる大泥棒の話。犯人をライフルで狙撃するのだが、このサイズ差で効き目があるのか(^_^)。
「不老不死の薬」など、誰もが想像するように、地球が滅んでも孤独に生きねばならないことになる。
「死ぬ」では、死刑囚は死刑までなんでものぞみ通り与えられる。女でもご馳走でも。まあ死なないようにそれなりの制限がある。生きる希望がなく、考えつく限りの方法で自殺しようとするが助けられてしまう。その度に二度と自殺の試みができないようになる。歯を失い手を失い足を失い、生きる術を失ったとき、死刑が廃止され、終身刑になり、老衰以外の死は許されなくなる。

 こんなファンタジックなユーモア小説の世界だ。
posted by たくせん(謫仙) at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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