2009年11月02日

運命の子 グインサーガ129

運命の子 グインサーガ129
栗本薫   早川書房   09.10

 著者の栗本薫が5月29日に亡くなってから、127巻「遠いうねり」、128巻「謎の聖都」、129巻「運命の子」と三冊目だ。
 127巻の時は亡くなって間もなくだったが、それから二冊。長編小説さえ書きためる著者の速さに驚かされる。
 古い話だが、坂田栄男が「作家なら年に一冊くらい長編小説を書いたらどうか」という意味の発言をしたことがあるという。並みいる作家は顔を見合わせたが、川端康成は「年に一冊、そんなにかけますか」と言ったという。簡単に長編一冊というが、年に一冊書くのは大変なことなのだ。
 それを栗本薫は十日もかからず一冊書いてしまう。ワープロの普及もあり、内容の濃さも違うので、一概には言えないが、脅威の速筆である。このシリーズも、亡くなるとき間もなく発行される127巻に続き、二冊分も書き残している。聞くところによれば、まだ半冊分くらい残っているらしい。
 130巻も出るのではないか。小説の残された半冊分と梗概のような今後の予定などあれば載るのではないかと思われる。
        unmeinoko129.jpg
   
 さて、この巻は、スカールとヨナが、次代のリーダーとなるであろう運命の子スーティとその母フロリーを、ミロク教団から助け出そうとする話だ。まだ話は終わっていない。
 それ以外に、この巻はもうひとつ重要な意味がある。外伝第一巻、「七人の魔道師」の巻でもあるのだ。サイロンに病が猖獗するが、なんとか治まった。本伝の話と外伝の話に齟齬があると思われたが、なんとか形を付けた。七人の魔道師が書かれた1981年からすでに30年近くたつ。平仄が合わない部分があるにしても、ここまできてようやく、七人の魔道師にたどり着いた。
 これからこの物語が新しい展開をする予感かしたところで、未完のまま終わることになる。

 千人をはるかに超える登場人物にそれぞれ個性を持たせ、正邪は定かではなく、いろいろ謎を秘めて、未だ全体像が見えてこない物語だ。
 前後矛盾したり、(個人で書いた)世界一長い小説と自慢したり、内容が薄すぎる巻があったり、文体が変わったり、問題もいろいろあることはあるのだが、とにかく長い間楽しんだ。わたしは第10巻から買い始めた。
 挿絵画家もいろいろ変わった。最初の加藤直之と最後の丹野忍がいい。天野喜孝は絵が汚く美人が美人にならないので嫌いだった。
 丹野忍はこの表紙のように、普通の油絵として美術館に飾っておきたいような絵だ。

 今はやめたが、前は毎巻三人づつ「読者プレゼント」があった。あとがきの最後にその名前が載る。恥ずかしながら、わたしの名前もその中にある(^。^)。

 なお、グインサーガのアニメが作られ、放送されている。わたしは先週の分だけ見た。
 辺境の砦が、まるで超近代的ホテルのようにデザインされたガラス窓。灯りは電灯のようだ。王宮ならともかく辺境の砦がねえ。それ以外はあまり違和感がない。しかし続けて見たいとは思わなかった。
posted by たくせん(謫仙) at 06:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/131813152
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック