2009年11月23日

屋根屋狂躁曲

津山紘一   集英社   1983.1
 わたしの知る限りだが、津山紘一の最後の作品。この後どうしているのだろうか。
 ネットで検索しても、その後はつかめない。
 著者が欧州の3年に及ぶ旅から帰ってきて、勤めた屋根屋がモデルらしい。ユーモアが溢れ少しセンチな、わたしの好みの小説である。

        yaneya.jpg

 会社の名前は鈴木重工業有限会社。経営者が鈴木重太郎、工務所では長くなるので工業、それで鈴木重工業。
 鈴木重太郎以外に、
 鈴木勝利 代表取締役社長
 鈴木正義 業務及び営業担当常務取締役
 鈴木良太郎 第一業務部課長
 田中さん 本社第三業務部部長
 唐島京助 第二業務部業務四課業務係り係長 杉並支社
 福田さん 第七業務部業務七課業務係り主任 西船橋支社
 これで全員である。
 全従業員にそういう名刺を与えて、鈴木重太郎本人は会長と呼べと。勝利・正義・良太郎の三人は会長の息子である。念のため。

 京助と良太郎は日大芸術学部の同級生で、海外暮らしが長く、二人とも英語が話せる。世間の目は、二人で汚い恰好で屋根で作業をしていて英語を喋ると、法律違反といいたげだ。(^_^)。
 要らない荷物、たとえば使わなくなった金庫とかで部屋は一杯で、何かをするとき、たとえば着替えなどは外でするとか。
 鈴木重太郎は壊れた電気製品などを捨てることができず(いつかは修理して使うつもりらしい)、遠い田舎に倉庫を建て収納しているとか。その費用の方が新製品を買うより高くつく。
 屋根の上で働いていると、難病の子がベッドにいるのが目に入り、人形(だったかな)をプレゼントした。女の子は感激していたが、間もなく亡くなったとか。三階の屋根から落ちて大怪我をした人の話。バイクが趣味で、婦人警官と二人乗りで肝を冷やした話とか。

 ユーモアに富んだ連作短編集のような小説である。
posted by たくせん(謫仙) at 10:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
大昔にモンキー・パンチの表紙に惹かれて古本屋でこの小説を買いました。
一度は手放したものの再び読みたくなったのですが作者もタイトルもうろ覚えで検索してもヒットせず。
本日ようやくここの記事に到達しました。
amazonで中古があったので購入しようと思います。
どうもありがとうございました。
Posted by neuro at 2012年08月09日 21:55
neuro さん
返事が遅くなりました。
わたしも同じような状況でした。ただ津山紘一の名を憶えていたので、なんとか図書館で捜すことができました。
もう一度読みたくなる懐かしい話ですね。
もう一冊、「時のない国その他の国」というのがあるはずなんですが、図書館にもなく読めないでいます。
手に入るといいですね。
Posted by 謫仙 at 2012年08月12日 14:19
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