2009年11月28日

結晶釉の美しさ

03.4.21記
 結晶釉とはいわゆる焼物の釉薬(うわぐすり)の名称で、それがそのまま、焼物の名称として使用されている。
 第一人者の孫超氏が、15年の歳月をかけ1981年に研究開発したもので、宋の時代(1000年頃)の消艶釉を、現代に大きく花開かせたものが、基となっている。
 結晶釉にも色々種類があり、チタン、コバルト、マンガン、亜鉛結晶などがある。


 以上 「ぎゃらりーふかうら」及び「結晶釉の小部屋」より。
 わたしは二十年ほど前に、台北の博物館で、結晶釉の展示を見た。展示室に入ると、その美しさに呆然としてしまった。大型の壺の表面に、3〜5センチほどの菊の花を隙間なく並べたような見事なもの。それが数十個並んでいる。ただそれらの壺は、みな同じようなイメージであった。
 韓国の陶芸家による作品展であった。
 説明書に「日本で作品展を開く予定はない。あのすぐに真似をする日本人に見せると技術を真似されてしまう、云々」とあって、苦笑してしまった。当時は韓国と台湾が偽物天国で、日本をはじめ世界の特許権者の悩みの種だったころだ。
 続いて、温度管理が難しく、何度も失敗した。このノウハウは秘密である。旨の記載があった。
 模様が大きかったのは、作品の大きさにもよったのであろう。高さ50センチから1メートルを超えるものまで、殆ど大型の壺で、日本人の好む湯飲みや茶碗に使用しても映えないと思ったが、それはおいといて、美しさを堪能した。
  
 それから二十年、ふとしたことから、陶芸を趣味とする「みなのや」さんとネット上で知り合い、結晶釉について訊いてみた。
 結晶釉にも色々あること、いまでもかなり高度な技であること、日本でも焼いている方がいること、などの説明があり、次のHPを紹介された。
「結晶釉の小部屋」http://www5a.biglobe.ne.jp/~aneha/
 ここではいろいろな種類の結晶釉が展示されていて、台湾で見たようなものはなかったが、この美しさは感動的。日本でも作っている人がいたとはうれしい限りだ。この主催者である「せらきち」さんから次のような丁寧な説明をいただいた。

 私がリンクしているぎゃらりーふかうら(09年:今は名が変わってしまった)では台湾の作家を紹介しているようです。また窯購入前に訪問した千代田セラミックの社長からは韓国の作家(名前は失念)の作品を見せてもらいました。
 尚、韓国や台湾で多く作られているようですが、陶芸の本ではヨーロッパで化学的に考え出された近代釉薬と紹介されている記載が多いようです。成分や焼成条件で必ず結晶は発生するという理論的根拠があります(私にもできた)のであまり深く詮索しても仕方ないような気もしています。ただ教科書には書かれていないノウハウが焼成に隠されており、本に書かれているレシピで釉薬を作っても簡単にはできないと思います。私でもコントローラに設定できる焼成パターンやそのほかのノウハウをつかむまで100回以上焼いています。
 このように難しく、歩留まりの悪い焼き物に取り組む熱意やあまり他の人が作っていない作品を作ろうとする前向きな姿勢も韓国や台湾で盛んであることに関係しているような気がしています(間違えていたらすみません)。
 最後に私の配合比率では台湾の方のような大きな結晶にはならず、基本的には1〜2センチ程度です。着色金属が入るとそれが核になり更に大きめになりますが、湯飲み程度の作品であればこのくらいで十分と考えています。今後はもっと大きな結晶になるように配合比率を変えようかと思っていますが忙しくてなかなかできないでいます・・・。

 「ぎゃらりーふかうら」を見て、別な情報を知った。
 結晶釉は宋時代にすでにあったこと。それを科学的に解明し、現代に蘇らせ、発展させたこと。韓国や台湾がその研究の先端にいること。
 など、知りたいことが判った。あとは作品の素晴らしさを堪能するのみだ。
 こう見てみると、わたしが結晶釉を知ったのは、結晶釉が世に出て間もなくであったことになる。
 陶芸に興味のある方なら、是非見ておくべきと思う。

09年:「結晶釉の小部屋」は今でもあるが、当時からほとんど更新されていない。
「ぎゃらりーふかうら」は名を変えてしまった。企業なので紹介しない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:28| Comment(4) | TrackBack(0) | 山房筆記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東北の作家の方の結晶釉の急須を15年位前に手に入れて持っているのですが、
一目で気に入って、その場で求めたのですが、重いうえに、水切れが悪く、使い物になリません。
釉薬の使い方は上手ですが、器を作る腕は余り良くなかったようです。
仕方なく玄関に飾ってあります。

結晶釉は売っていますが、融けてから温度を下げ途中で1100℃くらいで
温度を一定時間キープしないと、いい作品になりません。

私の陶芸のようなグループで色々な作品を一度に焼くような方法では
いい結晶を出すのは無理なようです。

確かに魅力的な釉薬ですね。

でも、常に使う食器は飽きが来そうです。

時おり使う器はいいですね。
Posted by オコジョ at 2009年11月30日 09:52
オコジョさん
器は使いやすいことが命。マアでも、展覧会の入賞作品など、なんに使えるのか判らないようなものがいっぱい。壺など実用性がなく見るだけ。
しかし見るだけの急須とは初めて聞きました(^_^)。
作り方は一応判っているようですが、良いものはやはり各自の工夫が入り込む。わたしも魅力的な釉薬だと思います。
毎日見ると地味かな。急須や茶碗のような小物だとあの模様は目だだないンでしょうね。
わたしには一場の夢でした。
Posted by 謫仙 at 2009年11月30日 17:54
現在イギリスにて作家活動を行っております。結晶釉と取り組んで5年になろうとしています。欧州でも、Wedgewoodを始め何社かメーカーが製作していたこともありますが、コストがかかる事もあって大量生産に向かないため、試験段階で終っているようです。但し、欧州ではフランス、イギリス、ドイツを中心に結晶釉の作品を現在でも製作している作家がおります。
この8月に東京銀座松屋デバートにて結晶釉を中心とした個展を行います。レシピや温度プロファイルによって模様の出方も変わります。私も結晶釉に魅せられた一人ですが、ご高覧頂ければ幸いです。
川村今日子 磁器展 銀座松屋7階 アートスポット 8月18日〜24日
Posted by imahiko at 2010年06月28日 18:55
川村さん
結晶釉などの磁器展ですね。
欧州では多くの方が試みていると聞いていましたが、やはり安定性に欠けるのですか。まあ、結晶が思ったような形になるのは難しいと思えますので、仕方ないのでしょう。
そのころ銀座方面に出ていく用事がありますので、予定に入れておきます。
期待しています。
Posted by 謫仙 at 2010年06月29日 06:23
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