栗本薫 早川書房 09.12
ついに未完のまま最終巻となった。わたしは1〜9巻までは妹の本を借りて読んだ。第10巻から買い揃え、121巻持っていることになる。
そしてその中には二冊持っている巻がある。一冊は読者プレゼントで頂いたもの。栗本薫のサイン入りである。
それ以外に外伝もある。外伝は何冊になるだろう。
外伝第一巻にサイロンの危機が書かれている。はじめ100巻で終わりにすると言っていたが、100巻を越えても、とてもサイロンの危機になりそうもなかった。ところが129巻になって、そのサイロンの危機が現れた。ようやくたどり着いたのだ。
その間予定外の話も挿入されたと思うが、なんとか一周したように思う。そうして、続編とはいえ、また新たな物語が始まる。
ゴーラ王の意外な行動は黒龍戦役の再現となるのか。パロの二粒の真珠の成長物語でもあるように、次のこどもたちの成長物語となるのか。
いろいろ推測されるが、ともかくこの物語は終わった。
小説とは自分の創造した世界を物語ること、という著者の面目躍如たる小説であった。これだけの長大な物語で30年も楽しませてくれたのだ。冥福を祈ろう。
最後であるが、ある苦情を申し上げたい。
グイン・サーガで言った川の話の再現である。
ユノから真っ直ぐに下りてくるあたりなので当然クリスタルの東である。
P124 イラス川とランズベール川、クリスタル市から流れ出てくる二つの大河を、
地図でも判るように山間部から流れ出た川は、クリスタルを通ってイーラ湖に注ぎ込む。「クリスタルに流れ込む二つの大河を」とすべき。
P127 イラス川を渡ったらもうちょっと下流へ−場合によっては自由境地帯までも下りてみたほうがいいかもしれん。
自由境地帯は川の上流、下りるのではなく登る。
P128 ランズベール川にそって下流に向かっておけ…
これも上流であろう。
この記述から、川の上下を誤解していることが判る。
もうひとつ、これはカバーの絵だ。いくら女剣士といえ、乳房をそっくり再現させたような鎧があり得ようか。画いたのは丹野忍。絵はうまいのだが、こういう非常識なところがある。リンダやリギアを巨乳にしたりした。
この物語でわたしの最も好きな登場人物は、魔道師宰相ヴァレリウスである。まだまだ引退はできそうもない。
グインサーガ これは《異形》の物語であった。