きのうは千寿会に出た。
「奥田あや」ちゃんという女子中学生がプロ試験に合格した。わたしは知らないのだが、小学生のころ、千寿会に来て碁を打っていたという。
さて。亜Qさんに二子で教えを請うた。二ヶ月ぶりに碁石を手にしたせいでもあるまいが、必勝の碁を、単純な見落としで、必敗の碁にしてしまった。志の高い亜Qさんはこの碁は勝ってはいけないと思ったようで、勝ちをゆずってくれた。さすが「高志の士」は碁格が高い。
後半の講義のとき、大盤解説でO君(中学生)の碁を並べた。激しい攻防の後、ある形になった。そこで健二先生の声があり、
「ノビるとどうなるか」
千寿先生はすぐにノビた後を続けて並べて、
「ここでどうしますか」
二つの大石がシチョウにかかるではないか。それを防ぐ手段は?と問うのである。
もっとも、わたしが問の意味が判ったのは解答の示された後であり、問われたときはシチョウを読むのがせいいっぱい。そして示された答えは「鎮神頭」
その昔、遣唐使に伴われた19歳の伴小勝雄(とものおかつお)が、長安の都で、唐第一の高手顧師言との天覧試合で、顧師言にこの手を打たれて投了したという。なお、その碁は四隅の星にたすきに白黒二つずつ石を置いてから対局を始めた。
(田村竜騎兵 物語り囲碁史)