2010年01月13日

謫仙楼対局 活死人墓

謫仙  :黒六目半コミだし
小龍女 :白
go10-1-1.jpg
  1図

 左上、黒が実利、白が勢力の別れ。その白模様に黒が打ち込んで逃げ切ったため、白地がほとんど無く、黒は四十目以上いいと思っていた。しかし、小龍女は投げずに続けて打つ。
 黒がタケフに打ってのぞいたので、白▲に打ってキリを防いだところ。単独で白▲に打たれれば警戒するが、黒のノゾキに続いて打ったので黒のダメが減ったのを気にしなかった。
 ここは、AかBに打って「勝ちました」と言わねばならない。ところが生きているつもりなので黒Cと打ってしまった。これだけ勝っているのだから余計な手だ。
  
 符号順に、白D・黒E・白Fとなれば劫ではないか。白Fのあと、
go10-1-2.jpg
  参考図
 黒1・白2・黒3で白4とはねたとき、黒▲である。しかし、小龍女の読みに錯覚があり、2図白▲と打った。
go10-1-3.jpg
  2図
 もし黒Aと劫になったとき、BとCがコウダテになるのでこの方がよいと思ったという。しかし、黒にはDがあり、活きてしまう。この黒Dを読み落としていた。
 ところが、わたしはそれにも気がつかず、Aの上にツイでしまった。こうなると、1図の劫がなくなり、形勢は逆転したらしい。小龍女は、他を打つ。
go10-1-4.jpg
  3図
 白▲を打ったのが、なんと黒Aから25手目。
 打たれて気がついた。すでに白ハネと黒Aを交換してあるので劫にもならない。投了せざるを得ない。
小龍女「すぐに白▲を打つと、後手になるでしょう。黒に先手であちこち回られると、この黒を取っても勝ちが見えなかった。だから殺せないふりをして、先に大きい所にまわり、外堀を埋めてから、取りに行った」
謫仙 「気がついたら、どうするんだ」
小龍女「もちろん投了することになる。このあたりはそれも勝負の内よ。活きていると思うと、もう一手かけようとは思わないでしょ。一手ごとに冷や冷やしながら、知らんふりして打ってたンだ」
聖姑 「お龍ちゃんは謫仙さんに連勝しているので、余裕で打てたンだね。もし負けが混んでいたら、すぐに取りに行ったのじゃないかしら」
小龍女「うん、そうですねえ。あんまり勝ちすぎるとなんですから。でもわたしも錯覚していて、読み落としに気がついてギョッとしたけれど、謫仙さんが気がついていないと判って、急にいたずら心が沸いてきて…、どこで気がつくかと…。活死人墓だね」

注: 全真教(道教の一派)の教祖の王重陽(1112〜1170)は、穴を掘り、「活死人墓(生きている死人の墓)」と称して、その中で2〜3年修行した。その後、北七真と言われる有力な7人の弟子を得て、全真教が栄える。
posted by たくせん(謫仙) at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 謫仙楼対局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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