2010年01月15日

国境のない地図

紀和鏡   徳間書店   1991.1
 ミステリーを読み慣れていないわたしには、ミステリーのできはなんともいえない。
 おそらく作者が紀和鏡でなければ投げ出していたであろう。「冒険&推理特別書下し」と銘打っているが、少しイメージが違う。
 ミステリーには「ノックスの十戒」とか「ヴァン・ダインの二十則」というものがある。もちろん絶対ではないが、この本はその戒を犯しているように思える。
 参考:http://www5e.biglobe.ne.jp/~t-azuma/omake.htm

 犯人は最後に脇役によって捕まるが、それは偶然に近い。犯人は観念して主役である被害者に長々と謎解きを言う。この状況と内容がかなり不自然なのだ。
 崩壊前のソ連の空いているシベリアの土地と、中国の余っている労働力、日本の余っている資本で、ある計画がある。内容は宇宙人の脳が出てきたり、SFっぽい。
 それほど巨大な計画に一企業が権利を手に入れようとして暗躍する。その謀略による殺人。
 著述も、現在と過去を切れ切れに交互に出し、読者を混乱させている。これはわたしの最も嫌うところ。最後の犯人の自白による謎解きも、「アアそうですか」。
 
 これはミステリーではないのかも知れない。伝奇性をもったミステリー的なSFと言うのだろうか。謎を解決する探偵がいないため、ほとんどの謎は加害者の自白によって解ける。
 期待はずれであった。物語は紀和鏡らしい鋭さがあるので、惜しい気がする。
 まあ捨ててしまうにはもったいないので、紹介することにする。
posted by たくせん(謫仙) at 08:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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