2010年01月27日

空海七つの奇蹟

鯨統一郎   祥伝社   09.9
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 空海が四国での修業時代に起こした七つの奇蹟を推理する。
 空海はトリックを用いて奇蹟を起こし人々を救うが、人々を救うためで奇蹟が目的ではない。
 そのトリックはそれでは成り立たないよと、思えるものもある。
 例えば飲み水が汚染されて、顔が爛れる人がいる。空海はきれいな水を探しそれを奇蹟で示す。きれいな水で身体を洗い飲んだだけで、すぐに病が治っていく。
 今までの毒がすぐに消えるものか、爛れが治るものか。新しい病人が出なくなっても、発病してしまった人が治るには長い時間がかかるだろう。それを時間軸を縮めて考えれば成り立つ。
 しかし、そのような欠点があるにもかかわらず、それが全く気にならず、一気に読んでしまう面白さ迫力がある。

 延暦16年、京の官である橘逸勢は修行のために讃岐に行く。そこで村を救う空海を見て興味を持ち、それからも六つの奇蹟に立ち会う。
 当時は呪術社会でもある。空海が唐から持ち帰った密教も呪術宗教に思える。そんな時代だから、空海の奇蹟が人を救う。上のトリックも本来は時間がかかったことであろう。
 現代ならトリックではないかと疑うが、当時なら頭からトリックと考え疑う人は少なかったであろう。信用されたと思える。
 空海伝説の真相を追求する、鯨統一郎らしい歴史ミステリー。
posted by たくせん(謫仙) at 08:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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