2010年03月24日

蛍坂

北森鴻   講談社   04.9

 香菜里屋シリーズの桜宵に続く二冊目、新たに説明を加えることはほとんどない。
 桜宵と同じように香菜里屋に持ち込まれる謎。それが解けてなお謎が残る二重半のミステリー。
 人の心の闇はさらに深くなったようだ。
表題の蛍坂は、男の苦悩と女の苦悩がぶつかり、蛍の飛び交う思い出を残して幾星霜。ゆめやぶれさらに蛍坂の謎が解けた男の悲しみ。それを穏やかに包み込む香菜里屋の雰囲気。
 主の工藤も謎を秘めた人だった。それ故に解ける謎もある。
こんな酒場があったら行ってみたいなと思う、この世から切り離された小宇宙のような小さな香菜里屋。
 シリーズ三冊目が前に紹介した「香菜里屋を知っていますか」である。このシリーズに続きがなくなってしまったのが寂しい。
posted by たくせん(謫仙) at 08:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
 この作品を含めて、カナリヤのシリーズは三作しかないというのは意外でした。なんとなく、もっとたくさんの作品があったような気がしていました。短編集だからかな、たくさんの人があのお店でいろいろな心の中を語っていたような気がしていました。
 重ね重ねも惜しい人をなくしてしまいました。
Posted by 樽井 at 2010年03月29日 22:52
樽井さん。
わたしが知る限りこの三冊なんですが、他にもあったかな。
ただ、例えば冬狐堂シリーズでも何度も登場したように、他の物語で何度も登場しているので、それも合わせるとかなりの量になるかと思います。

人の心の奥を思いながら、そっと包み込む構成には自分も登場したくなりますね。
Posted by 謫仙 at 2010年03月31日 07:18
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