2010年03月31日

紅嵐記

藤 水名子   講談社   07.4
 日本ではあまり書かれない、元末の物語。
        kouranki10.jpg

 主人公クラスが多く、特定の主人公はいない。あとがきで、朱元璋を書いたと言っている。そう言われれば朱元璋の出番が多かったかな、という程度。
 朱元璋は明朝の創始者。金庸でも倚天屠龍記に出てくる。若いころのことはほとんど判っていないので、著者の創作になる。藤水名子の場合それがぴたりとあてはまるのだ。
 わたしは、蒙古人ながら宋の料理に憧れ、江南で料理を習い、一流の板前になるサカルに思い入れがある。
 サカルが江南に出てから、紅巾の乱が始まる。張士誠が一時勢力を得るが、志が低く人望を失い、参謀役の弟六郎を失って終わる。乱立する反乱軍では、志の高い朱元璋はよい部下も集まり、最大勢力になっていく。
 蒙古軍では、トクトが父を押しのけて宰相の地位を手に入れ、最強の権力者になる。しかし、トクトが南方に勃発する反乱制圧に成功しそうになると、妬みによって都に引き戻され、そのまま失脚し死んでしまう。こうして、宰相クラスが味方の足を引っ張るようになり、元は勢力を失っていく。
 間もなく反乱が革命になりそうな予感がするあたりで、物語は終わる。

 久しぶりに藤水名子を読んだ。脇役のちょっとした人物にも充分に個性を持たせ、無意味な人が出てこないありに、藤水名子らしい展開と思う。こういう群雄伝になったのは、新聞小説として書いたゆえか。主人公が目立たないのもそのせいかもしれない。新聞ではその時の登場人物が主人公になるからだ。金庸小説にどこか似ている。
posted by たくせん(謫仙) at 07:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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