2010年06月06日

京劇「孫悟空VS孫悟空」

 6月5日、中野の「なかのZERO」小ホールで、京劇「孫悟空VS孫悟空」の公演があった。廬思(ルースー)さんが出るので見に行った。
    songokuu.jpg
 開演に先立ち、京劇の説明があった。初めての人はどのくらいか。けっこう多い。わたしも2回目なので似たようなものだ。
 左手から登場するとか、期待する俳優が登場したら拍手するとか。見事な演技の後で見得を切ったとき拍手するとか。回転しているときに拍手すると、いつもより余計に回るとか(どっかで聞いたなあ(^。^))。声をかけるとき、好(hao=ハオ)と言うが、早口なので日本人には「ア」としか聞こえないとか。これは「成田屋」が「タヤ」としか聞こえないのと同じであろう。
 しかしなあ、開演したら、はじめはあちこちで拍手。ちょっと甘すぎないか(^_^)。雰囲気が一気に盛り上がる。

 会場は満員、女性客が圧倒的に多い。小学生の姿もある。もちろんその保護者も。
 席は前から三列目の左右真ん中。本来なら絶好の位置なんだが、京劇の場合は左右に字幕が出るので、もう少し後ろの方が見やすい。観劇を申し込んだとき、前後の中央あたりを希望したんだが、こんな前になってしまった。
 俳優の顔がはっきり見えるので、これはこれでよかったと思う。

 日本人俳優も多く出演した。主役の孫悟空に石山雄太、れっきとした中国国家京劇院の俳優である。唯一の外国人俳優だという。もちろん言葉は中文。猪八戒はジェームス小野田。この人は中文ではなく日本語。その他台詞のない出演者たち。
 問題は猪八戒が日本語だと言うこと。それで道化ぶりを現しているともいえるが、発声が普通の劇と同じ。なんか浮いてしまう。
 沙悟浄は陳浩、あの中国語講座のチェンホォか。久しく中国語講座も見ていないなあ。
 廬思は観音様の役、中文だが一度だけ日本語を喋った。孫悟空とニセ孫悟空の区別ができず、「困ったなあ」。かなりの笑い声が聞こえだが、その笑い声は楽しい親しみの響きがした。
 廬思は幼児のときから舞台に立っている京劇のベテラン俳優なので、完全に京劇の発声。だから日本語でもおかしさは感じない。だが、猪八戒の言葉は発声が異質なのだ。
 それから随所に「大駱駝艦」が出る。これはわたしの知らない舞踏団体なので、なんともいえない。うまく雰囲気を出していたと思うが、京劇としてそれでいいのか。
 京劇は歌舞伎と同じように、古典のコピーではなく、常に新しいことを取り入れて革新している。現代に生きている劇だ。今回はいろいろ新しい試みをしたと言っていたが、これもその一つか。
 左右に現れる翻訳文は、かなり現代的。一度なんだったか誤訳があって、見入ってしまった。漢文読み下し文と翻訳文が同時に出たが、意味が反対になってしまっていた。読み下し文の方が間違いらしい。
 孫悟空の猿らしい表情がいい。手の動き、顔の表情など、花果山の他の猿たち4人の表情と比べると差が歴然。特に顔の表面が細かく動くのは、後ろの方の観客に見えただろうか。

 孫悟空たちが、三蔵法師を呼ぶときは師匠と字幕に出るが、声はshifu(師傅)。こんなときにも師傅と呼ぶのか。同じ発音だが師父ではないだろう。

 向かって右端には楽士たち。ご苦労様。一番大変なのはこの人たちかも知れない。

 終演になり外に出ようとしたら、三蔵法師役と二人の女優が出口でお客を送り出す。わたしは満足して、劇場をあとにした。

主催:新潮劇院
共催:飲茶会(中野区)
演出:張春祥

参考:雲外の峰−廬思の中国気ままにおしゃべり
posted by たくせん(謫仙) at 10:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 山房筆記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始まる前のレクチャーが有ったんですね。先日私が見た「初めての京劇」の時も楽しいレクチャーが有りました。しかし、やはり掛け声をかける勇気は有りませんでした(~_~;)
京劇を見た後の何とも言えない興奮が好きです。
また、機会が有れば見たいと思います。
Posted by xihuan at 2010年06月07日 19:06
あのレクチャー、知っている人にはくだらないようでも、初めて同様のわたしにはありがたい解説でした。
歌舞伎より入りやすい気がします。
かけ声はねえ…、タイミングが判りませんー。
今回こんなことがありました。
妖怪が悟空に刀を投げる。形の上では取られてしまうのですが、実際は投げる。
それを如意棒でバッターが打つように打ち返す。刀の横を打つには、刀の重心と速さがぴたりと一致しないといけない。それを続けて2回。
「ハオ」じゃなくて「美事!」と言いたい気がしました。しかし何事もなく過ぎてしまいます。本人たちはどんなつもりでしょうか。判っている人がいることを知って欲しいと思います。
それでもかけ声はかけられません。(^_^)。
また機会があったら行きたいと思います。
Posted by 謫仙 at 2010年06月08日 20:52
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