2010年07月16日

新唐詩選

吉川幸次郎 三好達治   岩波書店(岩波新書)   1952.8初版(1965改訂版)
 あまりにも有名な本であり、ここで取り上げるのも気が引けるが、取り上げないのも片手おち。紹介だけはすることにする。
 唐詩を語る格好の入門書である。杜甫・李白・王維の詩を多く取り上げ、細かに解説している。
 唐詩の題材の多くは、唐朝への忠義と友情である。
 政治演説のような建前を歌う唐詩は、恋愛には不向きらしく、数は少ない。
 可能性としては、恋の歌もあったが、価値が低いと撰されなかったため、残らなかった。とも考えられる。
  万葉集は、恋の歌が中心であるのと、対照的である。
 杜甫の詩は千五百首ほどあるが、そのほとんどは、わたしは一度も目を通したことがない。それでも、ここに紹介された詩で、レベルの高さを感じることができる。
 詩−漢文−唐詩−宋詞−元曲−〜−京劇
 と続く文芸の中で、盛唐の詩は日本人に最も膾炙(かいしゃ)されている。詩のレベルも高いが、日本が最初に、本格的に中国の文物を取り入れたのが、この時代であった。
 中国では、時代をえて、発音が一変してしまったが、日本語の中の漢音は、比較的この時代の長安の発音に近い。それゆえに、唐詩は、現代中国語で読み上げるより、日本語の漢音で読み上げた方が、正確であるようだ。もちろん意味が通じないので、一般にそのような試みはなされていない。

 文革で中国の過去が破壊され、後に復活するとき、日本や台湾省に残された資料が、重要な役割を果たした。
 そのレベルの高さを感じさせる本である。
posted by たくせん(謫仙) at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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