2010年12月28日

舞い降りた天皇(すめろぎ)

舞い降りた天皇(すめろぎ)
初代天皇「X」は、どこから来たのか
加治将一   詳伝社   08.8

 主人公望月は天皇のルーツを求めて出雲から大和へと旅をする。九州に行き、東京に戻る。身の危険を感じて北海道へ。
 アマテラスとその弟スサノオは、新羅から来て出雲を征服した。そして…と、古代史というより記紀の時代の歴史の謎に迫る。
 もちろん小説であり、斬新な古代史論も学問的にはどこまで正しいのか、わたしにはなんともいえない。ただし、学界の支持が低くても間違っているとはいえない。
 わたしは半分SF小説として読んでいるので、小説が面白いかどうかに興味がある。小説としては悪くないと思う。
 わたしは、神話は人の世界を写す鏡のようなものと考えている。こうして神話を元にして古代史を推測するのは、説得力さえあれば読者を古代史の世界に誘う。
 たとえば、邪馬台国という。しかし、正しくは邪馬壹国。壹(いち=一)であって臺(たい=台)ではない。誰がいつ差し替えたか。など説得力はあると思う。
 当時の日本の状況とその勢力分布や文字や記述から卑弥呼や邪馬壹国を推理する。
 魏志倭人伝の距離表記の問題。天皇の指名権を持つ宇佐神宮。朝廷を牛耳った秦氏。三種の神器がまとまってはいない理由。
 あるいは国の名前に、邪馬だの狗だの倭だの奴だのと付けるのに、伊都だけはいい字を使っている理由。同じ時期に作られた古事記と日本書紀が統一されていない理由。
 
 説得力があると思う。故意にマイナス情報を隠していないか、それはわたしの知識では判らない。このような古代史の考察は無視できないとおもう。今後、違う説を立てるなら、この説を論破してして欲しいし、そうしなくても無視はできないだろう。

 実はわたしは驚いたことがある。
 著者は中国をシナという。これが正しいと言い張る。それはかまわない。わたしも同感なのだが、わたしは中国も間違いだとは思わない。
 で、シナと言う人の特徴として、日本の現憲法を否定し、天皇制を主張し、軍の復活を求めるということが多い。ところが、この著者はそれがない。
 こんなことに驚いているわたしに、驚く人が多いかも知れない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:52| Comment(3) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本は樽井さんのブログで知ったもの。
けっこう多くの本を紹介してもらっている。読み捨ててしまったものもある。
この本は内容の斬新さで紹介したくなった。
Posted by たくせん(謫仙) at 2010年12月28日 08:23
本年もよろしくお願い致します。

支那というのが侮蔑の意味合いに近いものを持ち始めたのは、日清戦争の前あたりからのことで、第二次大戦後にそれをさけるために中国という名前に置き換えられるようになりました。
もともと支那は古代インドの言葉で「支那泥舎」(思慮深い人々の国)の略です。
他にも震旦(秦の土地)などがありますが、すべて中国以外から見た名称です。
というのも、日本は平安時代でも江戸時代でも国名は日本ですが、中国は宋も明も清も国号であり国名ではないので、他国は始皇帝の昔から使われた支那の名前でよんだわけです。
支那は間違いでも悪口でもなく、古い国名の呼称であり、中国は新しい呼称ということです。
ただカタカナでシナというのは、蔑称として支那を使っていた人が中国の呼称に置き換えられるのが気に入らず、カタカナ書きにして誤魔化したという話もあるので、漢字はともかくカタカナ書きはあまりいい意味ではないといえるかもしれませんね。
Posted by 八雲慶次郎 at 2011年01月03日 21:53
八雲さん
シナという名称にもともと侮蔑の意味ははありませんが、侮蔑の意味に使うようになるとその意味を帯びてくる。そういう歴史的な意味を無視する人が「シナが正しい、中国は…」と言うことが多いようです。
わたしは漢字かカタカナかは、意識したことはありませんでした。言われてみると、そんな使い方をしていますね。ただ、話は聞いた人が書くので、本人はどう言っているか。
チャイナの語源は秦だと言われていますが、これがシナと似ているのは、同語源か、偶然か。
>日清戦争の前あたり
日本も生き残るのに必死であった時代ですね。他者を思いやるゆとりが無かった時代。欧米のマネをして帝国主義になった時代。
呼称一つにもいろいろな意味がありますねえ。
Posted by たくせん(謫仙) at 2011年01月04日 07:59
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/176547389
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック