副題は、「作家 六波羅一輝の推理」
陰陽師という文字に引っかかり読んでみた。
安倍晴明のゆかり地に現れた鬼。京都に住む女性の婚約者が鬼に殺されたという。その謎を解く、ミステリ作家の六波羅一輝と出版社の担当の北山みなみのコンビ。
シリーズの三作目であるという。わたしは前二作を読んではいない。
できはと言うと、これはなんとも言えない。前二作を読んでみようという気が起こらないが、好みではないからで、できが悪いとはいえない。
鯨 統一郎らしい、斬新なアイディアがない。それだけに欠点も見つからない。
興味を引いたところは言葉の解釈。
独壇場これはなんと読むか。「どくだんじょう」と読む人が多い。正しくは「どくせんじょう」と言う人がいるかも知れない。
しかし「どくせんじょう」は独擅場と書く。だから独壇場は「どくだんじょう」なのだ。そして、本来独壇場という言葉はない。独擅場を「どくだんじょう」と誤読されて、文字も独壇場と書かれるようになった。
先を越される。これは本来「せんを…」と読む。
ヘエーそうなんだ、と関係ないところで、この本を高評価している。
安倍晴明は本来有名人ではない。昭和50年に帝都物語で取り上げられ、名前が知られた。夢枕獏の陰陽師で美形に書かれて以来、美形の青年というイメージが定着した。そして晴明神社や一条戻り橋が観光地となる。
そこで殺人事件が起こり、残された言葉が、「美女が鬼に変化した」。そして六波羅一輝に事件の解明を依頼する手紙が届く。
京都に関して、それなりの洞察はあるが、わたしにはそのレベルは判らない。途中で読むのをやめる気にはならなかった。と付け加えておく。