2011年04月29日

還珠姫

瓊瑤  訳 阿部敦子   徳間書店   05.10

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「たくせんの中国世界」で紹介したドラマ「還珠格格」の原作小説である。
 著者の瓊瑤は台湾の女流作家で1938年四川省生まれという。
 訳者の阿部敦子の名は、金庸の「飛狐外伝」や古龍の「陸小鳳伝奇」の訳者として知っていた。
 ドラマは著者が自ら脚本を手がけたという。読んでいて、ドラマは原作に忠実だなあと思っていたが、なるほど、著者が自ら脚本なら、変なふうに改編しないで原作の面白みを引き出せたわけだ。
 訳者はあとがきに原作を大幅に割愛したと言っている。言われてみると、あの場面この場面がなかった。割愛したのだったか。著者が原作にないことを少しは脚本に加えたかもしれない。
 格格とはお姫様の意味で、ドラマでは還珠格格で通しているが、小説は還珠公主であった。公主や郡主は漢語でお姫様の意味。後に還珠格格は公主から郡主に格下げになる。それなので原作は格格と公主・郡主を使い分けていると思われるが、ドラマでは格格で通していたのが解せない。翻訳者が格格を公主や郡主にしたとは思えないのだが、逆に著者が公主や郡主を脚本では格格に統一したとも思えない。矛盾。
 細かいあらすじのようなものは 「還珠格格」 で読んで頂くことにして、ここは本の紹介だけにする。

 初めのころ柳青が夏紫薇に小燕子を評して、
「あいつはな、度胸はあるけど考えなしなんだ。武芸だって多少見栄えのある演武こそできるが、実際に敵と戦えるわけではないんだ。……
 この言葉が後のいろいろな出来事を的確に表している。

 ひとつ揚げ足取りのようだが苦言を。P193に皇帝の言葉として、次の言葉がある。
「無礼もの! そなたは耳障りのよいことは申せぬのか!」
「耳障りのよい」これは間違いにしても間違い方が…。
 ふつう間違うときは、「耳ざわりのよい」と書く。これなら間違いに気づきにくいのだ。「耳障り」という言葉を知っていれば、「耳障りのよい」という間違いはしないはず。もちろん間違いと知っていれば書かないだろう。「耳ざわり」とひらがなにしてこれでよいと思う人は多い。だが漢字で「耳障りのよい」と書くのは珍しい。

 先にドラマの碁の話を紹介したが、小説でもちょっとした問題が起こった。専門的になるのであらためて書くことにする。
posted by たくせん(謫仙) at 07:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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