先日あるロッテのファンが、甲子園球場でのロッテ対阪神戦を見に行った。阪神ファンの熱狂はすさまじい。まさに四面楚歌であったという。
まわり中から ♪♪六甲おろしに颯爽(さっそう)と と阪神の応援歌「六甲おろし」が響き渡った。四面楚歌で小さくなっていたというのだが、思わず笑みが浮かぶ。
言葉の使い方は正しいのだが、この場合別な意味を連想してしまうではありませんか(^_^)。
ご存知と思うが説明させて頂くと、この言葉は漢の五年、項羽と劉邦の最後の戦争の話である。
劉邦と項羽は天下を二分する講和をした。
項羽が国に引き上げる途中、垓下まで来たとき、またもや劉邦の裏切りにあって、漢軍に囲まれてしまう。項羽軍は戦いに敗れ、兵は少なく兵糧も尽きていた。
ある夜、楚軍を囲む漢軍から楚の歌が聞こえてきた。四面から楚の歌声が響いたのである。ついに残った兵も望郷の念にかられて脱走し、兵は残り少なくなった。わずか八百余りで脱走を試みたもののついに自決。項羽三十一歳であった。
項羽は脱走の前まで愛妾虞美人を伴っていたが、脱走の前に虞美人は自決している。その墓には虞美人草が咲いたという。
力 山を抜き 気 世を蓋う
時 利あらず 騅 逝かず
騅 逝かざるを 奈何にせん
虞よ虞よ 若を奈何にせん
という有名な詩があるが、ここまで来ても、愛馬騅(すい)のせいにしている。
整理すると、四面楚歌と思ったのは楚の王項羽である。前述のロッテファンが千葉の歌に囲まれたのなら、文字通りの四面楚歌だか、囲まれたのは「六甲おろし」阪神の歌であった。四面漢歌だったのですね。
言葉の使い方は正しいが、それが歌の話になると、突如語源がチラッと顔を見せる(^。^)。
かわいい、という言葉がある。
「ゴジラ、かわいい」
「キングコング、かわいい」
などと使う。これは本来の意味を離れて、「魅力的」の意味であろうか。
本来は、小さい・力が弱い・庇護すべき、などという意味であるが、そういう意味であることを意識してはいない。
女性に向かって「君はかわいい」と言うのは、魅力的という意味であろう。君は無力だと言っているのではない。しかし、突如本来の意味が牙を剥くことがある。
うっかり「君のオッパイはかわいい」などと言ってご覧なさい。もう二度と会うことはできなくなるでしょう。