2011年05月25日

エコ論争の真贋

藤倉 良   新潮社   2011.2

 エコ論争といえるほどエコに関しては諸説が飛び交っている。
「リサイクルは無意味」だとか「レジ袋はどんどん使い捨てろ 」などという、わたし(謫仙)から見てもかなり乱暴な意見もあり、専門家の意見を聞かなければ判らないような、判断に迷うこともある。
レジ袋はどんどん使い捨てるべきか
     ゴミとリサイクルについて考える
温暖化は本当に人間のせいなのか
     地球温暖化について考える
なぜ生物を守らなければならないのか
     生物多様化について考える
おわりに
     本気のエコは高くつく


 賛否両論について、両方の意見を採り上げて論じている。
 書庫の土屋賢二さんの「あたらしい哲学入門」をはじめとする哲学書は「言葉の誤解」が哲学問題だと言っている。エコ論争はまるで哲学の論争のようだ。
 レジ袋に限らず、何度も使えるものは何度も使った方がいいのは目にみえている。わざわざ使い捨てることはない。この「言葉の誤解(をさせようとしている)」はわたしでも指摘できる。
 地球温暖化や生物の多様性を守る問題は、悪意を持っている人の話は、なかなか間違いを指摘できない。たとえ間違いを指摘されても、すでに本が売れている以上、本人は目的を達成したので、どうでもいいことなのだ。大相撲で八百長を指摘するような難しさがある。
 例えば生物の多様性を守る話は、こんなふうに説明している。
 飛行機の翼はリベットでつながっている。そのリベットが一本抜けても何ともない。二本抜けても何ともない。そうやってもう一本、もう一本と抜けるうちにいつか事故になるのは判る。生物も種が減っていくのは、今は何ともないようでも、いつか生態系が崩壊してしまう。そしてその時はもう取りかえしがつかない。
 わたしなどはこの説明で十分だが、反対する人はなんとかアラを探そうとするだろう。
 悪意の人はともかく、本当はどうか、を知りたい人には優れた案内書であると思える。

 似た話に 書庫−百億の星と千億の生命 がある。もう最後のリベットが落ちそうになっているかも知れない。
posted by たくせん(謫仙) at 07:55| Comment(4) | TrackBack(1) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。
 お読みいただいたのですね。気にいっていただけたようで良かったです。
 
Posted by 樽井 at 2011年05月26日 01:28
樽井さん
この本、わたしもお勧めです。
今の原発問題も考えさせられます。たとえばわたしはいわゆる「原発反対派」なんですが、その根拠は経済性。
具体的な数字を憶えていないので、本文には書けないンですが、かなり前の話で、発電コストの話題がありました。

水力発電15 火力発電14 原子力発電12 それで原子力発電は優れている。
というような意味の話がありました。
ところがその内容を見てみると、原子力発電は、廃炉の費用とか使用済み燃料の処分費用が含まれていなかった。その時は廃炉のことは考えていないので、費用は計算できない。廃炉にするころには、研究が進んで、費用をかけずに廃棄できるであろう。という甘い見通しでの発電費用算出でした。つまり廃炉の費用とか使用済み核燃料の保管費用はほとんどゼロで算出していました。ところが原発は、それこそ費用にかかるところと、識者では一致していたといえます。
今の原発騒ぎを見ていると、この数十年に廃炉のことを研究していたようにはとても見えない。いまだ使用済み燃料の処分さえできていない。

そのようなことが見通しが付いているならばいいが、できるまでは不可。というのがわたしの意見です。
今は花見酒でしょうか。都知事が「自粛しろ」というのは、それはスジが違うと思いますが、全ての人が、「今までの無駄を見直し質素な生活をする」のは賛同します。そうなると日本経済は半分くらいに縮んでしまうかも知れませんね。
実際にそれができるかどうか疑問ですが、そんな諸々のことを考えさせられた本でした。
Posted by たくせん(謫仙) at 2011年05月26日 20:15
読ませていただきました。
私の場合には、武田邦彦さん対藤村良さんのものと違い、哲学者八木雄二氏のライフワークに対するもので、下記のとおりです。
 八木氏の植物への魂の入れ方と文明否定がものすごく、12万文字に及ぶ批判書経由の哲学っぽいものになったという次第です。
 あなた様のような方に中を見ていただけたら、こんな光栄なことはありません。

ロクリアン哲学創建!
哲学は動詞だ!
真の「哲学する」を世に問う、
哲学の祖、パルメニデス以来の挑戦
「八木哲学*の生体解剖からロクリアン哲学へ」
(*八木雄二氏の「生態系三部作」に対しての批評文)
全部95ページ、堂々公開です。
2015年8月29日に
ホームページに(「ロクリアン」ですぐ出ます)アップしました。

作曲家、ロクリアン正岡拝

追記、なお、目次すべてと、3万文字以上の引用を行っておりますから、これだけでも八木氏の主張は把握していただけるものと存じております。
Posted by ロクリアン正岡 at 2015年09月06日 00:15
ロクリアン正岡さん
 わたしは音楽関係の情報に疎いので、あなたを存じ上げませんでした。検索してみると、音楽関係の情報ばかりズラリと出てきて、これは大変な人だなと。
 さて本題ですが、八木雄二氏もその著作も知りませんので、その価値が判りません。その批判ですが、ほんの少しですが読んでみました。
 で、結論ですが、あなたのように感じたなら、わたしなら「批判する価値がない」と採りあげない紹介しないと思われます。
 もし、八木雄二が著名人で有名な著作なら、批判の対象にするかも知れませんね。
 わたしが紹介している本は、基本的に読んで欲しいと思った本だけです。例外的にこれは読む価値がないという本もありますが。
 この項は、まともな批判だと思える、「エコ論争の真贋」を紹介しているのであって、「リサイクルは無意味」だとか「レジ袋はどんどん使い捨てろ 」などという本を紹介しているのではないことは理解して頂けると思います。
 たとえば、松岡圭祐の間違いと思われるものを書いていますが、こんな天才的作家が、どうしてこんな初歩的間違いをしたのだろう。しかし、それはともかく小説は面白いので、是非読んで…、という気持ちで書いています。
Posted by 謫仙 at 2015年09月06日 08:36
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