仁木英之 新潮社 2010.4

僕僕先生の第四巻である。
第三巻の続きで、海に出た王弁たちはまもなく武安州に上陸。そこで、蚕嬢たちは故郷に帰ることになった。王弁たちもついていく。
蚕嬢たちの故郷は六合峰という。ここは水の豊かな地方であったのに、今では旱魃になっていた。原因は蚕嬢がいなくなったことであった。
六合峰には魃という女神が封じられていた。いにしえの神である。しかし、巫女であった蚕嬢が掟を破り、魃の封印か解かれたのである。そのため旱(ひでり)が起こり、その地域はじわじわと広がっていた。
僕僕先生でも簡単には解決できない。王弁はみすぼらしい老女の魃に会い、なんとか助けようとする。
今回は王弁の活躍編である。僕僕先生がいなくなってしまったことにもよる。
いにしえの神に会い、相談したりする。黄帝と炎帝のすさまじい残酷な戦いの歴史を知り、その戦いに利用され、戦後は不要になり封じられた魃の過去を知る。いつの間にか王弁もそんな力を持つようになったのだ。そこには魃と戦う雷の女神も登場。雷の女神は重要な意味を持ちそう。
神話や伝説もふまえ、王弁の活躍によって、残酷な結末ながら解決する。その理由を僕僕先生は知っているが王弁は判っていない。
第四巻でもマンネリにならずあっと驚く新展開であった。今までの三巻とは少し異質かな。あまりにスケールが大きくなって、続きにくくならないかと余計な心配。
今回は内容に立ち入りすぎた。しかし、興を削ぐことはないと思う。
書評を読むと4巻が楽しみですね〜。バツ(漢字出ませんでした)は「陋巷にあり」でも出てきましたが、少し可哀想な神様でした。今回のバツも同じ神様だとしたら、ちょっと巡り合わせが悪い神様なので、どういう巡り合わせが彼女に起こるのかじっくりと読みたいと思います。
ちまたではさらに先の5巻まで出ているようですが、自分が読むのはいつになることやら。でも、先が楽しめる作品が世の中にあるというのは本読みとしては幸せなことです。
第五巻ですか、検索したら図書館にありました。希望者が多いので、読めるのはかなり先になりそう。
魃はこの小説でもかなりかわいそうな神様です。存在そのものが旱魃を起こすのですから、仕方ないとはいえ。
作者のこの方面の知識も読み所の一つでしょう。まだ新鮮さがありますね。
先が楽しみです。