2011年08月20日

先生の隠しごと

僕僕先生 先生の隠しごと
仁木英之   新潮社   2011.4
     bokuboku5.jpg

 辺境、雲南の西の方に異民族だけの理想郷があるという。その噂を聞いて一行は行ってみたが、どうも怪しい。
 王も庶民も同じ暮らしをしている。高官が威張ることもなく、富める者も貧しい者もいない。自由平等が実現されているように見える。おなじような粗末な服を着て、白い家に住む。屏風のような山脈に囲まれて、外敵の心配もほとんどない。
 国の名前はラクシア、王の名前はラクス。光の国、光の王。
 光があれば陰がある。この国の方針に従えない人は、試練と教育を与える。その教育なるものが問題なのだ。
 そのため、表向き民は「鼓腹撃壌(こふくげきじょう)」でも、実は常に鞭の影におびえて暮らさねばならない。
 薄妃たちが、きれいな服をつくって女の人に与えても、上から禁止の命令が来る。
 まるで文化大革命を思わせるような国の様子。理想と現実の落差。支配者の見えない鞭におびえる庶民。
 美少女僕僕先生はラクスに求婚される。一笑にして断るかと思うと、それがけっこうその気なのだ。その理由は、前回にほのめかされた先生の悲しい過去がある。
 今回も王弁の活躍編。専門の薬師としての仕事。僕僕先生も判っていると思うのだが、表では何もしない。

 雲南大理の白(ペー)族の白い壁と特産の銀細工を思い出した。なお大理国の前の時代の南詔国(738?−902、都は大理)の名も出てくる。唐は玄宗皇帝の時代の話。
posted by たくせん(謫仙) at 09:56| Comment(2) | TrackBack(1) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。同じ本の感想記事を
トラックバックさせていただきました。
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Posted by 藍色 at 2012年03月27日 16:53
藍色さん
ご訪問ありがとうございます。
僕僕先生にしても、悲しい苦しい過去があった。生まれながらの仙人ではない。
このことが読んでいて、切ない共感を呼びますね。
この本に限らず、僕僕先生のシリーズは、夢中になって読んでしまいます。
国のあり方をかなり省略してありますので、疑問を持つ方もあると思いますが、わたしは雲南大理を旅したことがあるので、省略した事柄にも膨らみをもって読みました。この膨らみの大きさが、この小説の面白さかなと思います。
Posted by 謫仙 at 2012年03月27日 18:23
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Excerpt: あなたの傷が深いほど、彼の言葉は優しく響く。その名はラクス、見目麗しき光の王―彼がプロポーズした相手は、なんと僕僕なのだった。いつもクールな美少女仙人の心が、悲しすぎる愛の記憶でグラグラ揺れる。.....
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2012-03-27 16:36