2012年02月03日

日本の殺人

河合幹雄   筑摩書房   2009.6

   nihonnosatujin.jpg

 前に紹介したことがある、 安全神話崩壊のパラドックス の殺人事件に特化して細かく解説した本である。

第一章 殺人事件の諸相
第二章 捜査、刑務所生活、そして出所後
第三章 ひとを殺すとはどういうことか
終 章 社会的大転換の裁判員制度

 殺人事件と言えば、凶悪犯罪と思われ、年々増加していると言われがち。しかし、実体は減り続けている。ただ統計だけでは判りにくい。半分以上を第一章に費やし、その様子を解説する。
 日本における殺人の多くは、子殺しや親殺しなど近親者による殺人である。こんな場合、兇悪殺人鬼のイメージではない。よく聞くとどちらが被害者か判らないほど。
 バラバラ事件がある。驚くがこれは間抜けな殺人だ。殺したはいいが、死体を運ぶこともできず、バラバラにして運び隠す。見つかりやすくなる。

 少し古い統計かも知れないが、殺人事件は年間1400件前後起きている。この中には未遂事件もある。予備罪も含む。小説の「…殺人事件」とは異なるのだ。
 例えば、ヤクザが親分に「…を殺れ」と言われて拳銃を渡された。本人は怖くなり拳銃を持って警察にいく。これも殺人事件(予備罪)として扱われる。
 では常識的な実数は、となるとはっきりしない。死亡者数は700ほど。これには強盗殺人が含まれていない。それは強盗致死とする。また殺人の立証ができなくて、事故として扱われるものもある。発覚しないものもありそう。政治家の金庫番の自殺も怪しい。おそらく800ほどではないかと推測する。
 殺人事件は統計の取り方が違うが、10万人あたりの比較で、
日本   1.2件
アメリカ 5.6件
 アメリカは強姦事件が日本の約100倍、強盗も100倍ほど。それにしては殺人件数が少ない(比較してです)。
 日本の殺人事件の多くは心中なのだ。ただし、心中という統計はない。ある統計によれば、
親族  828  57.2%
非親族 620  42.8% この中にも同居者や友人知人が多い。
 そこで、普通に殺人と考えられるものは全体の2割程度と推測している。そして、これらのいろいろな様子を詳しく解説している。その中で重罰、つまり懲役10年以上は318。あとは執行猶予がついたりする軽い罰。自殺を防ぐために執行猶予にしないこともあるが、起訴猶予もかなりある。とても凶悪犯の顔ではない。

 言うまでもなく で加害者被害者の人権のことを書いたが、家庭内殺人では、まさに加害者の人権を守らなければならない状況になっている。

 後半で戦争や死刑の話も論じている。交通事故も全てが事故なのか。
 刑務所の刑務官もいる。社会復帰も重要な話だ。それらは世間に知られていない特定の人々が手がけてきた。裁判員制度は、一般の人にもそれに加わって貰うことになる。
posted by たくせん(謫仙) at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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