2012年05月29日

魔法使いの弟子たち

井上夢人   講談社   2010.4
     mahoutukai.jpg
 久しぶりに一気に読んでしまった本だ。
「魔法使いの弟子たち」という題名も魔法的。初めに思っていた内容とはまるで違った。世界の危機だが、希望は残っている。まるでミステリーのようにあちこちに伏線があるが、これは面白い小説の特徴であろう。
 超常能力を持った人が世間とどうかかわるか。その超常能力がなぜ起こるのかという根本は解説されない。まさに魔法だ。世間では理解できない。理解できないことは受け入れない。超常能力者の苦悩の物語。

 甲府近くで突如発生した致死性の伝染病。発生と同時に病院は閉鎖される。
 その事件を取材しようとした雑誌記者の中屋は、取材を拒否され、調査中に偶然落合めぐみとであう。そして感染。10日ほど意識不明であったが、気がついたとき、病院内の患者で生き残っていたのは四人だけだった。中屋・落合めぐみ・落合の婚約者で意識不明のままの木幡耕三・木幡が何度も見舞ったことのある九十三歳の興津繁。
 数百人が亡くなった。伝染病は竜脳炎と名付けられた。
 生き残った三人には、それぞれ不思議な現象が生じた。興津は若返り、中屋と落合は超常的な能力を持つことになる。
 その超常的な能力を開花させ役立たせようとするが、理解されず暗転。世間では病原菌のように扱われ、警察には理解されず、それでいながら病院では病院内のウイルス研究所に住居を提供され優遇される。
 例えば落合めぐみは警察に包囲され、発砲されるが発砲した警官がその弾を受け死ぬ。警察発表では落合めぐみが発砲した。しかし映像では落合めぐみは何もしていない。
 竜脳炎の原因はドラゴンウイルスと判ったが、超常的能力は受け入れられず、竜脳炎は完全に抑えることができず、身の証は立っても警察は受け入れず、次々に新たに事件が起こり、と事件は広がるばかりで解決しない。

 わたしは意識不明のままの木幡耕三が意識を取り戻したとき解決するかと思ったが、そうではなかった。オチは納得できる。
posted by たくせん(謫仙) at 07:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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