2012年07月05日

メドゥサ、鏡をごらん

井上夢人   双葉社   1997.2
    kagamigoran.jpg
 この本は前から存在は知っていたが、食指が動かなかった。「魔法使いの弟子たち」を読んで、この本を読んでみる気になった。
 この文字、縦の太い明朝体を使っている。縦画があまりに太くて、横画が細く溶けそうな文字。表題など大きい字の時に使う文字でかなり読みにくい。これがラスト近くで普通の字になる。意味があったのだ。
 さて、物語の初めにコンクリート詰めの自殺の話が出てくる。そのコンクリートが彫刻のような形をしているのだ。自殺と判定された。そんなことに使える速乾性のセメントがあるンですね。

 小海線の石海という町にからんで続けて起こった不思議な事件、その謎を解く鍵は「メドゥサを見た」という言葉。
 主人公は婚約者の菜名子と一緒に、菜名子の父親である作家藤井を訪ねて韮崎に行き、藤井の死体を発見する。それからは、その死の原因を調べながら、遺稿を探すことになる。
 ミステリーとホラーを会わせたような話だ。タイムスリップものといっていいか。現在と過去が複雑に入り組んでいて、話に齟齬が生じる。その齟齬が謎となり伏線となって、解明したとは思えないのに、新たな展開でその謎がどうでもよくなってしまう。
 遺稿探しは、当時のインターネット状況を彷彿させる。

 いじめの話があるが、いくら田舎の小学生でもそこまでやるだろうか。
 そして落語では避けたい「夢オチ」に似た結末。そういえば主人公は誰。
 題名も無理やり付けたような。なんか梯子を外されたような感じがする。
 面白いとは思うもののかなり後味が悪い。
posted by たくせん(謫仙) at 07:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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