
推理小説のようだがファンタジーに属す。
意外なオチに、このオチで序が成り立つのか、読み返してしまった。微妙。
熊本市が舞台。妻を交通事故で亡くして、呆然としていた新海に、マンションのオーナーでもある喫茶店「そめちめ」のマスター夫婦から、仕事の依頼を紹介された。
交通事故に遭ってから新海は不思議な能力がついた。霊が見える。その霊の言葉が判り、失せモノ判断ができたりするのだ。
今回の依頼は、いなくなった妻を探して欲しいというもの。
捜査しているうちに次々と奇怪な危険でもある出来事が起こる。
押しかけ探偵助手の小夢ちゃん。小学生の女の子が、美事な推理と判断をして新海を助ける。
ホームレスの荒戸。新海に助けられ歌手になりたいという夢を実現しながら、新海を助ける。
「そめちめ」のオーナー夫妻は、無気力だった新海の私生活を支える。
こんないい人に囲まれて、新海は立ち直っていく。
表紙の絵は猫。怪奇現象でピンチになった新海を猫の群れが助ける。怪奇現象には猫が天敵というのは定石(^。^)。
それにしても怪奇現象というのは、判らずに怪奇であるから力がある。弱点が判ってしまうとあっけなく力が消える。
たとえば人には見えなくてもカメラでは見える。そうしてあぶり出すのだ。行き過ぎもあるが、人々は落ち着くと、たいした被害もなく日常に戻っていく。
わたしも行ったことがある熊本博物館も、大切な舞台として登場する。オチは微妙だが読みあとは心地よい。