2012年07月21日

王莽

王莽(おうもう)
塚本青史   講談社   2000.6

 戦国時代が終わり劉邦の漢の時代になる。漢字などという言葉があるように、中国を代表するこの王朝は、前漢(前206−5)と後漢(25−220)に別れる。その前後に挟まれた時代が新(8−23)であり、王莽一代の帝国であった。
 その王莽の一代記である。

 皇帝となった王莽は、儒教にかぶれ、周の政治を理想とし、その名前などをマネをするだけで実質を伴わなかったため王朝が滅んでしまった。
 地名や官職の名をめまぐるしく変え、首都の常安(長安のこと)以外は誰も今の正式名を知らないといった状態、官名も同様である。しかも実質が伴っていないので、まるでままごと。
 銭も鋳変えて高価にする。信用もないが、簡単に偽物(本物との差はないだろう)が作られて混乱する。
 各地に反乱が起き、にっちもさっちもいかなくなると、天に救いを求めるために、泣き声の悲哀な者を郎(官僚)に取り立てた。このため、郎の数だけで5千人にも達したという。
 こんなばかげた王朝が滅びるのは時間の問題だった。
 そんな王莽だが、皇位を簒奪するまでは実力者らしい、計算高い人物だった。
 貧しい家に生まれながらも、親族には高官が多かった。その親族を含む高官を利用したり裏切ったりしながら、実力を伸ばしていき、前漢末期の皇帝が定まらない状態を利用して、皇位を簒奪する。その後は別人となった。
 周の制度に人々が従うのはたてまえで、実際は実力で支配されているからだ。支配権を確立して政令を出すのに、政令を出すだけで支配権が及ぶと思っている。
 そんな簡単なことが判らなくなったのは皇帝になってからか。前漢のわずかな遺産を食い潰すだけの朝廷であった。

 いつか読もうと思っていたがなかなか機会がなかった。読んでいて楽しい本ではない。それは予想通りだったが、内容は予想とはかなり違った。この時代の本は少ないので、読んでよかったと思うが、二度と読むことはないと思う。
 それなのに紹介するのは、若いときなら夢中になって読んだと思えるからだ。
posted by たくせん(謫仙) at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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