2012年10月14日

のぼうの城

和田 竜 小学館   2007.12
     nobounosiro.jpg
 映画化されたが、その原作小説である。
「のぼう」とはなんだろう、野望の読み間違い? と思っていたら、でくの坊のことだった。
 秀吉の小田原攻めのおり、小田原では、城を取り囲んで籠城戦に持ち込んで睨み合っている間に、別軍が関東各地の小田原方の支城を攻略していた。
 忍(おし)の城もそんな支城の一つであった。
 攻め手の総大将は石田三成、二万三千。
 忍は一千の軍であるが半分に分け、半分は当主に率いられ、小田原に籠もっていた。残りの五百で留守をすることになった。陰では当主と秀吉の間で忍の城は開城する約束ができていた。戦後の延命策である。
 忍は「のぼう様」と言われている成田長親が新たに城代となって、三成軍の使者を迎えた。だが使者の無体な要求に、開城せず戦うと返事してしまう。腰が抜けていた。
 忍(おし)も籠城戦だが、のぼう様の下で守りきった。結局小田原方では、ただ一つ忍の城だけが落ちなかった。

 初めのころ軍の単位に騎を使っている。
関東管領上杉憲政らの連合軍八万六千騎…。氏康は…わずか八千騎で……
 小田原攻めでは、
実際に関東に攻め入る二十五万騎……
忍の城は
兵力はわずかに一千騎である。
 そんなに多かっただろうか。それでは兵力は…と、訝しみながら読んでいた。
 ところが後半には「騎」は影をひそめ、使わなくなる。一千騎を一千名で解釈すると辻褄が合うようだ。
 民から「のぼう様」と呼ばれているように、何もできずかなり莫迦にされていた成田長親が声をかけると、民が一斉に協力をして城を守りきる。この人望のあり方が、この物語の中心であろう。
 石田三成は、事務官として天才的な能力を発揮するが、軍人としては無能に近い様子も、よく書けていると思う。
posted by たくせん(謫仙) at 07:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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