2012年12月16日

もろこし紅游録

秋梨惟喬   創元社   2010.12
     morokosi2.jpg
 もろこし銀侠伝の続きであるが、銀牌侠ものというだけで、内容には関連性がない。
 時代は戦国の田斉から辛亥革命の江南まで。
 前作と同じように謎が深まっていくが、探偵役は早くから見当を付けているのは同じ。
 ただし、今回は問題がある。辛亥革命のころの江南を舞台にした「風刃水撃」では、著者がミスリードを誘っている節がある。探偵が判っているのに黙っている、つまり解決してから、「実は何々は判っていた」という類い。地の文では、そのときは判っていなかったような書きぶり。そのため武侠としては一応面白いが、ミステリーとしては物足りない。
 無理して理屈を付ければ、探偵が「実は何々は判っていた」と言うのが嘘、ということもあるが、これはさらに定石を踏み外していよう。

 時代考証はいい加減、判らないことは作者が勝手に作り上げていく。これはいくらデタラメでもなんの問題も感じない。武侠なんだから。そのように作った世界だから。その上でミステリーの本道を歩いて欲しい。
 銀牌侠は、平時の暗部を正すには強力だが、乱世では役に立たない。この初めの設定は崩していない。
 アイディアや物語の運び方は上手いので、次も期待している。
posted by たくせん(謫仙) at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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