2013年01月27日

風が吹いたら桶屋がもうかる

井上夢人   集英社   1997.8

 三宅峻平は、超能力者の松下陽之介(ヨーノスケ)と、この小説では名探偵役となる両角一角(もろずみかずみ、イッカク)と、3人で、もと倉庫で暮らしている。
 峻平が超能力者と生活していると知った若い女性から、超能力を使う頼み事が来る。
 峻平に言わせれば、超能力ではなく低能力、役に立ったことがない。例えば割り箸を割るにも30分もかかる。それなら手で割った方が早い。
 しかし、熱心な女性から、それでもといわれて紹介することになる。
 依頼者は、経緯を言って、ヨーノスケの能力でなんとかならないのか、と期待している。そこでヨーノスケは頑張るのであるが、すぐには結果は出ない。
 待っている間、ミステリーを読んでいたイッカクが、そのミステリーの批判して、依頼者の事件を見事に推理する。ミステリー史上の名探偵も顔負けの見事な推理である。
 それはみごとに空振りになるのだが、イッカクの超能力も間に合わない。
 しかし、依頼者は満足し、その依頼者の話から次の依頼者が来る。
 こうしてリレーしていくので、題名のようになる。儲かりはしないけど。

 わたしの好きな場面は、ミステリーを批判する部分と、超能力に対する見解だ。
「なんだ、この小説は。作家の都合ばっかりで話ができているじゃないか」
「こんな非論理的な名探偵を、よくも恥ずかしげもなく書いたものだ
……」 
「なにが華麗な推理の冴えだ。だだのこじつけを推理とは呼ばんのだ。だいたい、設定が不自然に過ぎる」

 そんなことを言ってから文庫本を投げ捨て、推理するのだが、峻平は芝居がかった言い方にうんざりして、「その持って回った言い方は止めろ」だのと言うのだが動じない。
 このやりとりが面白い。そして、イッカクのミステリー批判も頷ける。そんな小説があるのだ。それでいながら本人がその批判のような迷推理を展開する。
 これを読むと過去の名探偵も、推理通りだったのは偶然あたった、と思えてしまう(^。^)。
posted by たくせん(謫仙) at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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