2013年02月03日

深淵のガランス

北森 鴻   文藝春秋   2006.3
     garansu.jpg 
 絵画の修復士佐月恭壱の苦労話、と一言で言ってしまっては身も蓋もないが、傷ついた絵画を修復する話である。修復には大変な知識と、大家なみの技術を持っていなければならない。
 また画材の知識ばかりでなく、絵の売買とそれに伴う贋作などの知識も必要となる。  中編2話。

 表題作は、絵の修復を頼まれるが、そのカンバスには、絵の下にもうひとつの絵がある。その絵は表に出さないように希望する人と、表の絵をなくしても下の絵を表にしたい人のせめぎ合いの話だ。
 もう一話は洞窟の壁画の修復と分割された絵をもとに戻す話が同時進行する。高松塚古墳のように外の空気が入ると雑菌が入り、たちまち痛み始める。修復には当時の製作技法を復元しなければならない。水銀を使う危険な仕事になる。
 修復士佐月恭壱が、身の危険を冒して取り組む修復作業は鬼気迫る。
 絵画修復の技法解説は難解でわたしには理解できないが、そうだろうなと思わせる。美術品の収蔵と売買に関わる人間の執念の深さに驚く。そこまでするか。
 登場人物それぞれに事情を抱えていて、まともな人がいないようだ。
 「狐罠」などで贋作の話があるが、そのようなことのできる人物が修復だけに専念する話だ。
posted by たくせん(謫仙) at 09:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 書庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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