
1図
この形は「黒先で活き」と詰碁の問題として出されれば、一桁級位者なら正解が出せるだろう。特に右上など一目で答えられる。それが実戦で現れると間違うのだ。

2図
この左下は基本形の最初にあげられている形だ。もちろん黒はどう打っても活きない。
スミの石を殺そうとするとき、最後まで読むことはなく、この形になるようにすればよい。この形にひとつ広げた形が左上と右上だ。黒が先に手を入れれば活きる。白が先なら黒死。
黒が両方広げた形の右下は、白がどう打っても黒は活きる。
先日、ある碁会があった。そこで、級位者ふたりに対して一局づつ指導碁を打った。ふたりとも一桁半ばの級位である。6子局であった。
そこで、左下の形が1回、左上の形が2回も出てきた。ふたりとも気づいていない。
まわりの白が活きて黒を攻められる状態になったとき、ここを説明して手を入れさせた。
局後、詳しくこの形を説明したのだが、理解できたかどうか。特に大きなしっぽが付いていると、気づきにくい。
1図の答は次のようになる。

1は知っていれば第一感として目が行くが、知らないと2路上の手を考える。
2は知らないと気づきにくい。
3は実戦では打ちにくい手だ。1−4(4−1)の下がりを打ってしまう。
この本はわたしが7級のとき読んだ。その後も何度か読んでいる。基本の2図を理解したのは入段してかなり経ってからである。どこかでこの説明があって感心したが、思い出してこの本を開いてみたら、きちんと説明しているではないか。読んだ当時は頭で判っても実戦では利用できなかったのだ。
1図の答の1や2は今でも間違う。相手に次の手を打たれてから間違いに気づく。上達しないはずだ。